ちょうど、お正月休みも明けて日常生活に戻る頃、華やいだ気分を引き締めるように『寒の入り』が訪れます。
この日は『小寒(しょうかん)』と重なり、『節分(せつぶん)』までの約一か月間を『寒の内(かんのうち)』と言います。
この時期にしたいこと、気を付けたいこと、気づきたいことについてお話しましょう。

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寒の入りを迎えたら…

まず、しておきたいのは『寒中見舞い(かんちゅうみまい)』の準備です。
忌中で賀状を交わせなかった方や、年賀状の返礼が間に合わなかった方へ、ぜひ『寒中見舞い』を出してみませんか。
頂く側になった時…寒さが厳しい頃、便りをいただくのは、とても心温まるものではないでしょうか。
仕事や学校が始まったばかりで気忙しい頃とは思いますが、ほんの少し手数をかけるかかけないか…これは自分自身の心にも大きな違いがあると思います。
忙しいときこそ、誰かのために手間を惜しまない。寒いときこそ、心温まる言葉を綴る…日本の慣習には思いやりが宿っているのです。

「寒(かん)」の付く言葉もいろいろ…

『小寒』、『大寒』という二十四節気は天気予報でも報じられ、耳なじみのある言葉だと思いますが、このほかにも『寒』の付く言葉はいろいろあります。
例えば、寒の入りから四日目を『寒四郎(かんしろう)』、九日目を『寒九(かんく)』と呼びます。『寒九』に雨が降ることは、豊年の前兆であるとも言われています。そして、寒中の後半の18日間は、『寒土用(かんどよう)』と呼びます。
また、面白いところでは『寒卵(かんたまご)』という言葉があります。寒中の鶏卵は栄養豊富で、特に生卵で食べると良いと言われています。古くはたんぱく質が少なく、卵が珍重されていたことが分かりますね。
他にも、『寒造り(かんづくり)』、『寒稽古(かんげいこ)』など、寒さ=厳しさの末に実を結ぶ意味の言葉に使われています。
寒造りのお酒は、製造は前年の11月から始まりますが、寒中の水を使うことで美味しくなるのだとか。他に食べ物では、高野豆腐の別名が『寒豆腐(かんどうふ)』、『寒鰤(かんぶり)』などがあります。

季節の花には低木が多く…

この時期の花には、『寒椿(かんつばき)』、『寒木瓜(かんぼけ)』などがあります。どちらも比較的低い木に咲く花ですね。
そして、『大寒』のころからちらほらとほころび始め、かぐわしい匂いで存在を知らせてくれる花が『梅』です。都心でも、公園や民家の庭先に見かけることができます。
梅はとても種類が多く、また目線の高さに枝が伸びるのが特徴でもあります。大きな梅園では1月中旬~3月中旬まで順々に、訪れる人を楽しませてくれる「息の長い」花です。
都心でも雪が降ることがある季節…残雪の中に凛と立つ白梅は、見る者にも「シャンとしよう」という「心意気」も与えてくれますね。
寒に入ったら…人を思い、我を思い、花を想って、春を待ちましょうか。