冬はオペラ鑑賞に絶好のシーズンだって、ご存じですか?
国や歌劇場によっても異なりますが、ヨーロッパのオペラ・シーズンは通常9月にスタートして翌年の6月頃に終了します。日本の新国立劇場も同じく9月~6月までがオペラ・シーズンです。
「オペラなんてわからない」と遠巻きにしている人でも、実は「聞いたことがある」ものばかり。
そんなオペラの世界をのぞいてみましょう!

大切な人と優雅にオペラ鑑賞……。きっと忘れ得ぬ時間になるはず!
大切な人と優雅にオペラ鑑賞……。きっと忘れ得ぬ時間になるはず!

言葉がわからなくても泣けてしまうほどの魅力

大ヒット映画『プリティ・ウーマン』(1990年)にオペラ鑑賞の場面が出てきます。エドワード(リチャード・ギア)がチャーター機でビビアン(ジュリア・ロバーツ)を連れて行った先は、サンフランシスコが誇る名門オペラハウス。高級娼婦ヴィオレッタ(ソプラノ)が青年アルフレード(テノール)と恋に落ち、真実の愛を知るというストーリーの『椿姫』に、ビビアンはイタリア語のオペラ鑑賞が初めてにもかかわらず感動の涙を流します。両作品は重なるところが多いものの、映画はハッピーエンド、『椿姫』は主人公の死で終わる悲劇、という違いがあるので、そうした観点で鑑賞してみるのも素敵ですね。
『椿姫』は結婚式でもおなじみの「乾杯の歌」など、一度は聴いたことのある歌や曲が多く上演時間が短いので、オペラビギナーにとって最適の作品といえます。

W杯応援歌で知られるオペラは、実は悲劇

W杯の応援歌として定着した「凱旋行進曲」は、オペラ『アイーダ』の劇中歌として使われるクラシックの名曲です。応援歌になったきっかけは諸説あるようですが、この曲を作曲したのはイタリアのジュゼッペ・ヴェルディ。古代エジプトの将軍ラダメス(テノール)と敵対するエチオピアの王女アイーダ(ソプラノ)の悲恋が、情熱的な音楽で描かれた傑作です。舞台がエジプトのため、ピラミッドや神殿などの大掛かりな舞台装置が特徴で、かつてはエジプト・クフ王のピラミッドの麓で上演され、現在では、イタリアの古代ローマ遺跡で盛んに上演されています。
壮大なスケールの中、切なさに満ちたロマンティックなストーリーは、“オペラ中のオペラ”といわれる魅力がぎっしり詰まった作品です。

荒川静香さんが金メダルを獲得したあの歌!

トリノ五輪(2006年)で金メダルを獲得した荒川静香さんが、フィギュア フリースケーティングで使用した「誰も寝てはならぬ」は、ジャコモ・プッチーニ作曲のオペラ『トゥーランドット』第三幕で歌われるアリア。氷のような心を持つトゥーランドット姫(ソプラノ)に一目惚れした王子・カラフ(テノール)が、彼女の花婿になるために与えられた謎を解き明かします。それでも求婚を受け入れない姫に、逆にカラフが自分の名前を謎ときに出題しますが、姫にはわかりません。謎が解けるまで「国中の者は誰も寝てはならぬ」と命令が出され、勝利を確信したカラフが「私は夜明けまでに勝つだろう」と歌い上げるのです。三大テノールのルチアーノ・パヴァロッティが歌ってポップスのランキングに異例のチャートイン、そのCDが全世界で驚異的な売り上げを記録したことでも有名です。

大切なのはファースト・コンタクト!

「初めてオペラを見て 一生の友になる人もいれば 一度きりになる人もいる」。これは『プリティ・ウーマン』のエドワードのセリフですが、この言葉通り大切なのはファースト・コンタクトです。曲を知っていることはオペラの世界への鍵を持っているようなもの。まずは、耳慣れた歌があるこの3作品から気軽にトライしてみて、冬の歌劇場へも出かけてみてくださいね。