イギリス人の作家が、ロンドンの高層マンションと田舎の一軒家でモリフクロウを飼った15年間の記憶をたどる。フクロウの生態や体の造りや行動周期などの解説も加えた猛禽との生活記だ。
 猛鳥でも若いうちに飼うと人なれすると知り、34歳だった著者は認可を受けたブリーダーのもとで孵った生後1カ月のメスの雛を自宅に持ち帰る。一日に体重の二割の量を食べるとされる肉食のフクロウに、冷凍庫に大量に詰め込んだヒヨコを毎日二羽ずつ与えた。遠慮なく排泄におよぶ習性に備えて床に新聞紙を敷きつめビニールシートを張った。やがて彼女は著者の肩に好んで止まるように。だが、「気まぐれだがおおむね愛らしいペット」ではなくなり、著者以外の人間を縄張りへの侵入者とみなして攻撃するようになる。
 週末の朝は、キッチンで2時間ほど著者と互いに羽づくろいをして過ごした。抱卵行為や肥満を目のあたりにし、鳥を飼育下におく罪悪感を覚える一幕もある。フクロウの見かけ以上に長い首がするする縮む様の観察などは興味深い。

週刊朝日 2014年12月12日号

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