最近、テレビなどでもしばしば取り上げられるようになった「日本の空き家問題」。今後も増え続けるであろう空き家に対し、効果的な策が見つからない状態が続いています。今回は、そんな空き家の現状について、書籍『「空き家」が蝕む日本』を元に紹介したいと思います。
総務省が5年に1度発表している「住宅・土地統計調査」によると、2013年度の東京の空き家率は11.1%となったそうです。空き家自体は約81万7千戸あり、これは過去最高の数。前回の調査(2008年)から約6万7千戸増えているのだとか。
なぜ今、空き家が増えているのでしょうか。株式会社価値総合研究所が実施した「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、空き家のうち、売却や賃貸などを検討しているのは、全体の24%にしか過ぎないのだそうです。驚くべきことに71%の人は特に何も対応せず、ただ所有しているだけの状態となっているとのこと。またその中で、空き家を管理せず放置している人は12.8%にも上るのだとか。
また同書では、今後、空き家はどのようなペースで増えるかについて予測したレポート《「人口減少時代の住宅・土地利用・社会資本管理のもんだとその解決に向けて(下)」(『知的資産創造』2009年十月号/野村総合研究所)》も紹介しています。
「もし2003年のペースで新築(約120万戸)を造り続けた場合、2040年には空き家率が43%に達するとしています。『お隣は空き家』といった状態ですね。これではまったくお話になりませんから、仮に新築を造るペースを半分(約60万戸)にした場合でも、その頃には空き家率が36%になってしまうとのことです」(同書より)
やはり、今後も空き家率は増えていくようです。そんな空き家が増えてしまうと私たちの生活はどう変わってしまうのでしょうか。
「都市の空き家率が30%を超えると都市環境が悪化し、居住快適性が著しく低下してしまうことが研究者の間で知られています。たとえば空き家に侵入していたずらするとか放火するなど犯罪の温床になったり、なにより街が荒れてくると、そこに暮らす人の心も荒みます」(同書より)
空き家の中でも、老朽化により倒壊の恐れがある建物もあります。東京都足立区では、「足立区老朽家屋等の適正管理に関する条例」を制定しており、助成を行うことでそうした"危険な空き家"の解体を促そうとしています。
今や、空き家は個人の問題としてだけではなく、地域の問題として受け止めなければいけない時代となっています。そろそろ本格的に「なにか」をやらないと取り返しのつかないことになるのは目に見えています。ただ、その「なにか」が何なのか、はっきりしないのも問題なのかもしれません。