「ネットブック」という言葉を覚えているだろうか。「ネットブック」は外出先などでインターネットを閲覧し、マイクロソフトOffice系のソフトなどを使って作業することを主な目的とした、安価な小型ノートパソコンだ。その名の通り、あくまでネットブラウジングを念頭に置いているので、性能面などは最低限に抑えられている。2007年にASUS社が「Eee PCシリーズ」を出したのがその始まり。定価が5万円と安価で、発売当時は衝撃が走った。
「ネットブック」が登場するまで、ノートパソコンは安くても10万円以上するのが当たり前だった。「ネットブック」は、学生をはじめ低価格のパソコンを求めるユーザーにとって、待ち望まれていたのだ。だが、iPadをはじめとしたタブレット端末の登場や、何よりノートパソコン自体の価格が5万円前後に下落したことで、「ネットブック」はほとんど姿を消してしまった。
すっかり日陰者になってしまった感があるネットブックだが、その流れを組んだ新製品が登場した。エイサーの「Aspire Eシリーズ」の「ES1-512-F14D/F」と「ES1-512-F14D」(共に11月14日発売)だ。このシリーズは、「ネットブック」を代表するブランドである、エイサーの「Aspire Oneシリーズ」から派生している。
では、その性能を見ていこう。画面に15.6インチの液晶を搭載。厚さは26mmに抑えており、持ち運びしやすいよう設計している。キーボードにはテンキーも付属している。OSに「Windows 8.1 with Bing」、「500GBのハードディスク(HD)」、「4GBのメモリ」、「DVD書き込み可能な内蔵ドライブ」を搭載している。CPUはデュアルコアのインテルCeleronプロセッサーである。
これだけ聞くと、変哲もない事務用向けノートパソコンに聞こえるかもしれない。しかしこのパソコン、「データ復旧安心サービス」を無料で搭載しているのが特徴だ。これは、PC購入日後30日以内にユーザー登録することで、購入日より1年間データ復旧に対応できるというもの。購入後1年間は、HDをうっかり初期化してしたり、パソコンを壊してしまっても、消えたデータを無料で復旧してくれる。しかも、復旧データを書き出す新しいHDも無料で用意してくれる。ただし、100%全てのデータが必ず戻ってくるわけではない。定期的なバックアップが欠かせないことには変わりないので、そこは注意が必要だ。
価格は25日現在、Office付きのモデルが6万1340円、付かないモデルが4万820円となっている(ヨドバシ.comでの値段、税込み)。
今や、「ネットブック」を謳う製品はほとんど残っていない。しかし、「Aspire Eシリーズ」が4万円台から手が届く安さを実現していることは、「ネットブック」の安さを十分受け継いでいると言えるだろう。