個人情報の漏洩やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)、チャット・アプリでの子どものいじめ、出会い系など悪質なサイトへの接続……。子供が巻き込まれやすいトラブルとしてテレビなどで報道されている情報を目にする度に、不安を覚えている親御さんは多いはずだ。

 だからといって子どもからスマートフォン(スマホ)や携帯を取り上げるわけにもいかない。学校からのお知らせや部活動の連絡がSNSで行われることも多い昨今、子どもたちをそういった世界から完全に切り離すには難しい環境へと変わってきてしまっている。

 そこで登場したのが見守りアプリ「Filii」だ。

 このアプリを子どもが使用しているスマホにインストールすれば、親は対象の範囲で未成年者に禁止されている行為に関係する発言や、いじめや自殺に関する発言があった際に、パソコン上のブラウザーや携帯端末からチェックすることが出来るのだ。TwitterやFacebookだけでなく、チャット・アプリのLINEやカカオトーク、commにも対応し、個人情報の漏洩など危険度が高い行動はリアルタイムでアラートが発信される。

 このアプリの最大の特徴は、「監視」ではなく「共有」であるという点だ。親は子どもの「発言」が危険な行為であるということを伝え、子どもは一体何が危険なのかを考え、学ぶことが出来る。現在はAndroid版のみのサービスだが、今後、iOS版のサービス展開も視野に入れているという。

 一つ難点があるとするならば、アプリ内のやりとりを読み取っているわけではなく、通知を読み取ってアラートを発信しているために、例えばLINEなどは、新着通知を切ってしまうと解析が出来なくなり、見守り効果がなくなってしまうという点だ。

 だがその点を差し引いても、子どもと親が共に情報を共有しながら危険から身を守るこのアプリは、新しいネットワーク時代の親子関係のあり方として、注目出来るだろう。今後は写真や動画、課金に関する範囲まで機能を拡充していくという。見守り効果の更なる改善を期待したい。

 ただし、子どもを本当に守れるのは、アプリではなく親自身だ。これで安心と、こうしたアプリに頼り切りになるのではなく、子どもたちの苦しみや喜びを理解し、共感できるようになるために、より一層の努力と忍耐と判断力が求められているのかもしれない。