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 2005年2月にホリエモンこと堀江貴文社長(当時)率いるIT企業のライブドアが、老舗ラジオ局であるニッポン放送株を買い、さらにはフジテレビを買収しようとしたことを覚えているだろうか。

 ホリエモンの「想定の範囲内」というセリフが流行語となり、“テレビとネットの融合”というキーワードが注目された買収騒動から、間もなく10年が経とうとしている。買収があった当時、ラジオ局とテレビ局は、ネットの活用に対して非常に消極的だったが、この10年でテレビとネットの関係はどのように変化したのだろうか。

 買収騒動から8カ月後の2005年10月、日本テレビが始めた「第2日本テレビ」を皮切りに、民放キー局とNHKは、ネットを利用したオンデマンド形式でいつでも番組が見られるサービスを開始。また、2010年12月には在京・在阪民放ラジオ局により、パソコンやスマートフォンでさまざまなラジオ局を通常の放送と同じように聴けるサービス「radiko.jp」が実用化された。開始当初は限定されたエリアでしか視聴できなかったが、現在では全国各地で様々なエリアのラジオ局の放送が聞けるようになっている。同じくNHKでも、ネットでのラジオ配信を始めている。

 テレビ局のオンデマンドサービスで見ると、最近では、過去の番組と同じ内容を配信するだけでなく、ネット向けにアレンジ・制作した番組を配信する会社も登場している。例えば、2014年5月30日にテレビ東京が始めた「テレ東プレイ」では、かつての人気バラエティ番組「TVチャンピオン」をネット用にアレンジした「TVチャンピオンWEB」というコンテンツを配信。この「TVチャンピオンWEB」では、過去のチャンピオンを再び取材し、あれからどんな技を磨いたのかを公開していて、いわば、テレビだけでは見られない付加価値を提供しているのだ。ただ、このような「オリジナルコンテンツ配信型」はまだ少ない。

 アナログテレビが主流だったあの買収当時と比較すると、現在は完全にデジタル化され、ネットに接続できるテレビも普及した。そして、ネット接続を利用したデータ放送による視聴者参加型番組や、映画や見逃したドラマなどがオンデマンドで見られる「アクトビラ」なども登場している。ホリエモンが当時意図した“融合”とは違うかもしれないが、こうした動きをみるにつけ、手探りながら“融合”は着実に進んでいるようだ。