この本では「JKリフレ」について、何人もの女子高生に話を聞いている。「JK」は「じょし・こうせい」だが「リフレ」は、恥ずかしながら経済用語か何かかと思ってました。リフレクソロジーの略です。つまり「女子高生によるマッサージ」で「女子高生が触ってくれたり」「ついでに女子高生を触っちゃったり」みたいな風俗。「JK産業」と呼ばれるものがあって、それは「一緒に散歩」から売春までひと通り揃った「女子高生セックスワーク」だ。
 ごくふつうの、家庭もちゃんとした、勉強もやろうとしている女子高生が、なんとなくこういう商売をする。正直いうと、「こういう仕事がどれほど危険で、どれほど若い女の子をスポイルするか」と説明されても、ちょっとキモイおっさんでも一緒に散歩しただけでお小遣いもらえる割のいい稼ぎだから、イヤなことはイヤと言ったうえでやりたい、と思いそう。これ読んで「リスクは承知」でJK産業に参入する女子高生が出てきそうな危うさを感じる。
 JK産業が女子高生たちの、ちょっとした気持ちの隙間に入り込んで、親切ごかしに居場所を提供する。女子高生たちはずるずるとその穴ぐらにはまりこむ。彼女たちの話をいくら聞いても、ならどうしたらいいのかは見えてこない。著者は彼女たちの自立支援をしているのだが、それでも女子高生たちに「何ができるわけでもない」「救えない」と言っている。女子高生は話を聞いてもらえる(時に泣きながらの電話もある)ということで著者の取材に付き合う。
 こういう本で「今どきの若いもんは」と怒ったり呆れたりするのは簡単だが、今の若い子が軽薄だとすると彼女たちを巻き込むシステムは大人がつくってるわけだから、大人も軽薄でさらに悪質だと自覚しておくほうがいい。それにしても、JK産業に来る客が「デブで汗かいてるオタクみたいなのが多い」というのも、胸が痛い話だ(自分が男なら確実にそのタイプだし)。

週刊朝日 2014年8月29日号