ネット世代を代表するジャーナリストが、ツイッターやフェイスブックを中心に情報が氾濫する社会のなかで、よりよいメディアとの付き合い方を解説した1冊だ。六つの章に分かれ、「成熟した情報の受け手になるために」「ツイッターのデマを検証する方法」「いい文章を書くための秘訣」などの個別質問に著者が答えるQ&A形式を取っている。
 インターネットが活動拠点と見られがちな著者だが、「ネット礼賛」の立場かというと意外とそうでもない。例えば「マスメディアとネットメディアはどちらが信頼できるか」という質問には、現在のところ「時事問題についてまともな報道ができるネットメディアはほとんどありません」ときっぱり断言。他にも「新しい知識はどこから得るべきか」という質問に対しては、本、ネット、人づてという三つの習得経路を挙げた上で「とにかくリアルで人と会って話を聞く」ことを重視すると回答。率直だがその分、答えに信頼が持てる。
 コンパクトな構成でありながら、情報との関わりを網羅的に考えられるのが大きな魅力だ。

週刊朝日 2014年5月2日号

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