留学研究所で40年間、米大学への進路指導に携わる著者が、ハーバード大学の学士課程における入学審査の独自性や、アメリカ社会での位置づけを、例を挙げて説きあかす。
 世界中から優秀な学生が集まるハーバード大学だが、寮費や食費も含めた学費は年間約600万円かかる。そのため学生の7割は奨学金を得ている。討論中心の授業の質を上げるためには刺激に満ちた意見を述べる人材が必要で、それには移民や難民も含めた多様な背景をもつ学生の獲得が必須だ。秘密のベールに包まれた入学審査にせまる。
 正直、読むほどに何故ハーバード大学を目指すのかがわからなくなる。入学すれば何ものにも代えがたい学生生活を送れるだろうが、ハーバードの学士号をとっても、大学院へ優先的に入れるわけではない。しかも博士号を取得しても、大学が多様性を重んじるため母校には残れない決まりがある。一方、一般のアメリカ人にとっては、お金のかかる大学という認識らしい。国土が広大で一極集中でないアメリカでは、アメリカンドリーム=ハーバードという考えはないという。

週刊朝日 2014年4月25日号

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