「入社3年目あたりまでは採用時の評価ポイント通りに推移する。しかし、そのあとは低評価だった男性社員が伸び、高評価だった女性社員が落ちていく」
これは、書籍『就活のコノヤロー ネット就活の限界。その先は?』で紹介されている採用担当者の言葉です。最近では、女性の総合職採用増により、男女の平等な雇用が実現しつつあると言われていますが、採用担当者の多くは「女性の方が伸び悩む」と証言しています。
では、なぜ優秀と判断された女性社員は伸び悩むのでしょうか。企業の組織体系によって理由は様々としながらも、本書では大きく8つに分けて紹介しています。
理由【1】ロールモデルの不在
女性の総合職が少ない企業は、同じ部署や周囲に同性の先輩がいないことが多い。そのため、自身のキャリアがイメージできず、仕事への意欲を失いやすい。
理由【2】女性抜きのキャリア育成プラン
独身寮、研修制度などは男性社員を対象としており、女性総合職を前提としていない。また、指導研修のノウハウなども男性中心となっている。
理由【3】仕事が意味不明
上司が、一般職と変わらない仕事しか与えない。例えば、取引先に書類を届けさせるだけで、商談の重要な部分に関わらせない、など。
理由【4】男性上司・先輩社員がセクハラ・パワハラ回避策をとる
女性を叱ることでパワハラと言われないか、仕事帰りの飲食に誘うことでセクハラと言われないかなどを気にしすぎる。上司や先輩社員は問題を回避するために、積極的に女性社員と関わらない。
理由【5】ビジネス相手の無理解
企業側が女性総合職を増やす努力をしていても、ビジネス相手の無理解で傷つき、成長が阻害されるケースも。女性担当者との面談では本音を言わず、帰ってから上司と電話で交渉するなどの例が見受けられる。
理由【6】ビジネス相手のセクハラ未遂
海外駐在先での接待は、商談だけでなく、現地でのストレス発散を前提としている場合も。女性担当者にセッティング・同行させられないため、語学力のある女性社員が海外勤務を任されないケースがある。
理由【7】4R押し込み策・象徴人事
女性を営業などの主要業務には配属せず、人事・広告宣伝・経理財務・顧客相談などの「4R」を担当させる企業も多い。女性役職者を"とりあえず"増やすためとの理由で、実力以上の評価をして管理職に登用する「象徴人事」も。
理由【8】女性社員側の無気力・無力感・自己肥大
男性優位の文化に触れて無力感に襲われ、女性社員に出世する意欲がなくなることも。
該当するケースが1つでもあるとすれば、女性社員の成長が鈍化する組織である可能性があるとのこと。女性が入社時に望んでいたキャリアを築くためにも、企業側が解決すべき課題はいまだに多いといえそうです。