ジェイ・Z、Spotifyでの楽曲配信を停止
ジェイ・Z、Spotifyでの楽曲配信を停止
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 ヒップホップ・アーティストで実業家のジェイ・Zが2017年4月7日よりストリーミング大手Spotify(スポティファイ)での楽曲配信を停止した。

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 他のアーティストとの共作はまだ残っているものの(アルバムはR・ケリーとの『アンフィニッシュド・ビジネス』(2004年)と『ザ・ベスト・オブ・ボース・ワールズ』(2002年)の2枚。楽曲は「N----s in Paris」(カニエ・ウェストfeat.ジェイ・Z)、「Numb/Encore」(リンキン・パークwithジェイ・Z)、「オール・ザ・ウェイ・アップ」(ファット・ジョー&レミー・マーfeat.フレンチ・モンタナ、インフラレッド、ジェイ・Z)、「クリーク/Clique」(ビッグ・ショーンwithジェイ・Z&カニエ)、「ダート・オフ・ユア・ショルダー」(withノトーリアスB.I.G.)の5曲)、彼のソロ作品は全て聴取できなくなっている。米ビルボードがSpotifyとジェイ・Z側に確認したところ、Spotifyからは「アーティスト側からの要請を受けて一部の作品の配信を停止した」との回答があった。

 彼がオーナーを務めるストリーミング・サービスTidal(タイダル)では今も彼の楽曲を聴くことができる。だが、有料会員数が5,000万人の業界最大手Spotify、2,000万人のApple Music、そして公表していないものの、プライム会員数から推測すると1,000万人以上のAmazonと比較すると、Tidalの有料会員数は300万人にも満たないといわれており、これはDeezerやNapsterと同等の数字で苦戦しているようだ。Tidalは2017年1月に株の33%を2億ドル(約222億円)でSprintに売却し、同社の4,500万人の顧客にもサービスの提供を開始した。

 自称“アーティスト・フレンドリー”なストリーミング・サービスであるTidalは、2015年にジェイ・Zを筆頭に16アーティストが出資して発足した(ビヨンセ、リアーナ、カニエ・ウェスト、ジャック・ホワイト、アーケイド・ファイア、アッシャー、ニッキー・ミナージュ、コールドプレイ、アリシア・キーズ、カルヴィン・ハリス、ダフト・パンク、デッドマウス、ジェイソン・アルディーン、J・コール、マドンナ)。Tidalの魅力の一つはこれらの有名アーティストのコンテンツが独占配信されることだ。

 Apple Musicでの配信も停止したとの報道もあるが、『ザ・ブラック・アルバム』、『ハード・ノック・ライフ…Vol. 2』、『ライフ&タイムス・オブ・ショーン・カーター…Vol. 3』、『キングダム・カム』、そして最後のソロ・アルバム『マグナ・カルタ…ホーリー・グレイル』(2013年)は現在まだ配信されている。(彼がマスター音源を所有している『ザ・ブループリント』と『リーズナブル・ダウト』は含まれていないが、これは以前から配信されていない。)このことからSpotifyでの配信停止は、無料会員に広告入りで楽曲を提供し、アーティスト側に使用料を適正に支払っていないとされる同社のビジネスモデルに抗議した動きであるとみられている。