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1978年発表の『カムズ・ア・タイム』は、ニール・ヤングの一連の作品のなかでもっともカントリー色の強いものといっていいだろう。記録によれば、その制作は、ソロ・アコースティック作品を想定して75年の秋にスタートしている。フランク“ポンチョ”サンペドロとの出会いをへて『ZUMA』を完成させた直後のことだ。強い手応えを感じていたはずなのに、「次も同じ方向で」とはならないところが、いかにもニールらしい。
最終的にはレコード会社からの要望を受け入れる形でバック・ミュージシャンを迎えた録音となっているが、「ならば」ということなのか、ベン・キースやニコレット・ラースン、スプーナー・オールダム、J.J.ケイルなど30人以上のアーティストを起用し、ゴーン・ウィズ・ザ・ウィンド・オーケストラという名前までつけている。これもまた、いかにもニールらしい。タイトル・トラックをはじめほとんどの曲でストリングスが効果的に使われているし、複数のギタリストがまったく同じようにアコースティック・ギターでコードを弾いている曲もある。まさにオーケストラなのだ。
「ルック・アウト・フォー・マイ・ラヴ」と、ニコレットのカヴァーでシングル・ヒットも記録した「ロッタ・ラヴ」はクレイジー・ホースとの録音とクレジットされている。しかし、その音は、『ZUMA』とは趣を異にした、アコースティック中心のもの。全体的な方向性が早い時点からしっかりと固まっていて、そのなかで彼らを生かした、ということのようだ。
サイド2の1曲目「ヒューマン・ハイウェイ」は、途中で暗礁に乗り上げてしまった74年のCSNYセッションのために書いたものだという。時は流れて、グラミー賞関連のチャリティ基金MUSICARESのパーソン・オブ・ザ・イヤーにニールが選ばれたとき(2010年2月)、CSNの3人はパーティでこの曲を歌っている。
最後に収められ、エピローグ的な印象を与える「フォー・ストロング・ウィンズ」は、カナダ人カントリー・シンガー、イアン・タイソンの曲。ザ・スクワイアーズのメンバーとしてトロント周辺で活動していたころ、しばしばラジオで耳にしていた曲だという。[次回8/12(月)更新予定]
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