先日「ホストの学校」というものが開催された。ホストクラブのホスト達がどのようにして女性達に高いシャンパンを入れていただいているか、それを一般男性向けにお話する初の試みなのだという。ちなみに男性限定の講座だという。今度の連載小説の舞台がホストクラブなので、私は隅のほうで取材させていただいていた。
聴きに来ているのは飲食業や接客業の人が多いようで、皆の目は真剣そのものだった。
このホストの学校、なぜか無料で開催されている。「もっとホストクラブという場所を知ってもらいたくて。誤解されることも多い業界なので......」というのが理由だそうだ。確かにそう、若い男の子達は生活に行き詰まると「ホストになっちゃおうかな」と簡単に口走る。でも実は、かなりの努力を必要とする世界なのだ。
この日は店のランキング上位のホストたちの営業のコツが次々と明かされていた。とても面白かったのは「欲しいものは口に出して伝えなくてはわからない」ということ。たとえばシャンパンを入れてもらいたかったら「シャンパン入れてよ」と言わなくては、一生入れてもらえないのだという。これは以前、生命保険のトップ営業マンも同じことを言っていた。保険に入ってくださいと正面切って言えなくてはならない、と。
そしてナンバーワンホストはこう言っていた。
「女性に『お前本当は甘えたいんだろう?』と聞くと、9割以上が『うん』と答える。どんなに年上の女性でもそう。だから俺は『俺に甘えろよ』と照れずに言う」
つまり、正直に言葉に出せる人ほど強いということなのかもしれない。断られても何度もシャンパンをねだる、彼らの粘り強さには、勇気をいただけた気がした。私だっていろんなことを断られて日々生きている。この間だって21歳の男の子に勇気を出してメルアドを教えたのに、メールが来ない。そうだ、それでもへこたれてはいけないのだ。
帰りにいただいた非売品のホストトランプは、ホストの顔がずらりとプリントされていて、とても気に入っている。近々、このトランプで神経衰弱をして遊んでみよう。似たような髪型ばかりで最初のうちは見分けがつかない人も多いだろう。男子の微妙な違いを瞬時に見抜ける変な特技を持つ私が、圧倒的な強さを誇れるに違いない。