先日私は「iPhoneで撮ったイケメン展」という写真展をした。
iPhoneには星の数ほどのフィルターの種類がある。カラー写真をモノクロやセピアにするにも濃淡やコントラストなどの具合などで何十何百というパターンがある。私は1枚のカラー写真を、レトロ風、鉛筆デッサン風など、100以上のパターンのフィルターにかけて展示した。
実はこの展示では、ひそかなる出品物があった。それは1枚100円のポストカード。そのイラストを描いたのは私ではなく、娘である。
娘は「ママが本を売るなら私もポストカードを売る」と言って、つたない手つきでイラストを描いた。私もバカ親なので、それならば、と彼女の絵をスキャンし、ハガキに印刷し、透明な袋にきちんとしまって売り出した。
本当はこうした作業もすべて娘にやらせたかった。しかしできなかった。なぜならば、娘は展示会の前後数日間、ちょうどキャンプに行ってしまっていたから。そう、ヤツは、私に作業をまかせ、ゆうゆうと高原に出かけてしまったのである。
私としては冗談で売り出したつもりだったのに、ツイッターで娘の絵を告知すると、「欲しい。取り置きしておいてほしい」という人が現れた。展示会当日も、彼女が描いた可愛い女の子の絵は男性客を中心に売れた。合計すると13枚も売れてしまったのだ。彼女は高原にいながらにして1300円も稼いでしまった。これは彼女の1ヶ月のお小遣いの1.3倍に値するスゴイ額である。
これに気を良くした娘は、今度は11月のデザインフェスタに出たいと言い出した。デザインフェスタとは、イラスト作品の即売会で2800以上のブースが出展される巨大イベントだ。
出展料もかかるからどうしようかと迷っていると、知り合いのかたが「私のブースの片隅を貸してあげましょう」と言ってくれ、娘はあれよあれよという間に出展が決まってしまった。
彼女は当日は似顔絵屋さんをすると言っている。今は、1人3分程度でサッサと顔を描く練習をしている。1枚200円か300円だそうだけど、今度はいくら稼ぐことができるかしら。