最近、友人知人が皆、出会い系サイトでパートナーを見つけていて、再婚までする人も出ていて、うらやましすぎる。最近の出会い系はそんなに良いのか、と私も久しぶりに男女の出会い専門のサイトにプロフィールを書き込んでみた。

 しかし......待てど暮らせど誰からも連絡はない。顔バレが怖いので顔写真を掲載しなかったのがいけなかったようだ。しかもかなりの男性が希望年齢を35歳まで、としている。就職の年齢制限のように、恋愛にもまるで年齢制限があるかのようで、38歳の私はしゅんとなってしまった。

 このまま引き下がれるものか、と私は男性に自分からメールをしてみることにした。なぜならば素敵だなあと思える28歳の男性がいたからだ。10歳も上の女からメールがいったらイヤかもしれないけど、でももしかしたらイヤじゃないかもしれないし!

 しかしメールサービスは有料会員にならないと利用できないという。利用料金は月々1980円もする。私は一瞬たじろいだが、支払うことにした。ああ、結局こうしてまた男の人にお金を使ってしまってしまう運命なのか。

 で、どうなったかというと、私は現在なんと2人の20代男性とメール交換をしている。年齢差がかなりあるけれどあちらは「年上が好き」なのだそうだ。やったわ、時代はやっぱり超年の差恋愛なのねっ!

 驚くことに、彼らとやりとりをするたびに私はなんともいえない安らぎを感じるようになった。彼らは私を内藤みかという作家だとは知らない。日夜原稿を書きまくり、ろくに家事もしていない女だということも知らない。
 私は昨日作った夕飯の話や昨日読んだ本など、他愛もないやりとりを彼らとする。彼らも観た映画や遊びに行った場所の話をしてくれる。きっとこれはどこにでもあるような普通の会話だ。特に小説になることもないようなありふれた文面だ。

 それなのに私はほっとしていた。今までは「内藤みか」としてカッコいい言葉を書かなくてはと随分気負っていたのかもしれない。ああラクだなあと思ってしまったのだ。 メールを数度やりとりした頃、ひとりの男性が「映画に一緒に行きませんか?」と私を誘ってくれた。

 行きたい。でも知らない人に会うなんてとても怖い。それに年末ということもあり、締め切りがいっぱいだ。
でも、断るのももったいない気がする。ああ誰かに付き添ってもらっちゃおうかなあ。