■塁なら18点は取れる
同じく地元ファンであるマーティン・クエヴァ(22)にとって、人生のヒーローはキャリアをLAチームで終始一貫したコービー・ブライアントだ。
「9歳でNBAの試合を見始めた自分にとって、マイケル・ジョーダンやカリームの偉業は教科書で学ぶ歴史だ。コービーこそが自分の時代のスターで、彼のジャージに一体いくらバイト代をつぎ込んだことか」と語る。
そのブライアントが引退後の2020年1月にヘリコプター事故で死去すると「胸が潰れた。今でも彼のことを思い出さない日はないぐらい」と語る。
そんな中、かつてブライアントの最強のライバルのひとりだったオハイオ州出身のジェームズが、レイカーズの新しい主力選手として同年の秋に優勝トロフィーをLAに持ち帰った。
「レブロンに心から感謝したよ。傷心で落ち込む自分を救ってくれた。レブロンは最優秀選手だと確信したよ。自分の心の中のコービーは生き続けるけど」
マジック・ジョンソンのファンでレイカーズの選手たちを40年以上見てきたベンジャミン・シモンズ(45)は「にわかファンではない立場で言わせてもらえば、八村塁に期待している。彼の大学時代から見てきたが、コンスタントに18点ぐらい得点できる力はある。レブロンとしても、彼を得点源として頼りにしたいはずだよ」と語る。
クエヴァも「最初の試合で塁は少しナーバスに見えたけど、もうチームに馴染んでる。ハッスルする塁が大好きだ。レブロンがいる安心感を利用して細かいことを気にせず、どんどん積極的に攻めてほしい」と語る。(在米ジャーナリスト・長野美穂)
※AERA 2023年3月13日号