King Gnuの井口理さんがAERAに登場。初主演映画「ひとりぼっちじゃない」がまもなく封切られる心境を「これでやっとスタートラインに立てた気がします」と表現した。AERA 2023年3月13日号から。
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「自信がなくて、いつも不安なんです。失敗したらどうしよう?って」
井口理が1年4カ月にわたってアエラで連載した「なんでもソーダ割り」。14人のゲストとの対談中、彼は幾度となくそう口にした。謙遜ではなく、本心だった。
「バンドのステージがどんどん上がっていく中で、自分がどうあるべきかを見失っていたんだと思います。でも、連載を重ねるうちに、誰しも似たような“恐れ”を抱えているんだなと気づけたことが大きかった」
意外な忠告もあった。昨秋、King Gnu結成時からの悲願である東京ドーム公演を控えたある日、インスタライブで交流したファンからこんな言葉をかけられたという。
「僕が『ドームで歌う自信がない』と言ったら、『自信ないままステージに立つなんて、ファンに失礼ですよ』って。18歳の女の子が言ってくれたそのまっすぐな言葉で、かなり目が覚めました。『ちゃんと夢を見せなさいよ』と言われたような気がして」
2日間で10万人を動員した東京ドーム公演を終え、同連載を単行本化する作業が動き出した時、井口は「母親との対談を追加したい」と申し出た。
「最後に家族の過去の話を聞くことで、自分の“軸”がどこにあるかを再確認したかったんです。実家の前で母親とツーショットが撮れたのも、意味のあることだったと思います」
その単行本の発売と同日には、初主演映画「ひとりぼっちじゃない」が公開される。井口は不器用でコミュニケーションがうまくとれない歯科医師を演じた。
「映画はこれからの自分を考えるきっかけになりました。いわば未来と向き合ったというか。だから、僕の中では、“過去”と“未来”が同時に出るような感覚があります」
(編集部・藤井直樹)
※AERA 2023年3月13日号