「吉村氏も松井氏も、大阪より京都に長くいるんじゃないか、なんて冗談が出るほど。有権者が投票用紙に『吉村知事』なんて間違って書かないか心配だ」
とは維新の国会議員。
福山氏は楠井氏を徹底的に意識し、
「なぜ京都に大阪がやってくるのか。京都のことは京都で決めよう」
と反論する。
それに呼応しているのが、自民だ。
昨年の衆院選で維新は、京都は比例復活が1人だけだったが、大阪は公明党の候補がいる4選挙区を除く15選挙区に候補者を立ててすべてで勝利。お隣、兵庫県でも小選挙区で1、比例復活で8人を当選させた。
自民にとっては、その勢いが京都でも、という脅威があるためだ。自民の西田昌司政調会長代理は、
「参院選で維新が勝つと、先々、自民の議席が奪われるかもしれない。維新の勢力を伸ばしてはいけない。京都が『大阪化』してしまう」
そして、元衆院議長の伊吹文明氏も演説会で、
「京都のことは京都でと、立憲のポスターにある。(立憲も)いいことを言うこともある。大阪は京都にちょっかいを出さないで」
と反維新を意識した発言。
自民の京都府議も危機感を募らせる。
「ここで維新がとれば、来年の統一地方選でも大量に擁立してくるはず。2年後の京都市長選でも候補者を出すでしょう。だから、最初にたたいておかなければいけない、というのが自民党京都府連の思いだ。大阪の勢いが兵庫にも及びつつある。そうなってからでは手遅れ。こちらの票を福山氏に分けてでも当選してもらい、京都の維新の増長を抑えたい」
自民と立憲のタッグが維新の猛攻を食い止めることができるのだろうか。
●長野では“外から”の崩しでさらに激戦か
長野選挙区は、自民の新顔でタレントの松山三四六氏が、立憲の現職、杉尾秀哉氏を相手に、互角の戦いを挑んでおり、混沌(こんとん)とした情勢だ。
羽田孜元首相の地元でもある長野は、過去、国政選挙でも民主党系が優位に戦いを進めてきた。前回は、元TBSキャスターという知名度もプラスになって、杉尾氏が勝利を収めた。