選挙に勝ち続ける自民党の面々
選挙に勝ち続ける自民党の面々
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 自民党はなぜ勝ち続けるのか? 権力を牛耳る強さの根源は何か? その秘密は地方議員と国会議員の関係、地域とのつながりにあった。後援会、町内会名簿、夏祭り、掲示板、どぶ板、戸別訪問など様々な手法で勝利を掴む自民党の力の源泉に朝日新聞政治記者が迫る。強者を飲み込み続ける自民党のブラックホールの正体を『自民党の魔力』(蔵前勝久著)から一部を抜粋・加筆して解説する。

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■「夏祭りの振る舞い」で自民か野党か分かる

 立憲民主党の小沢一郎衆院議員と行動をともにしてきたある元市議は、小沢氏から「歩け、そして地域の声を聞け」とたびたび言われてきた。自身でも「それこそが政治の基本だ」と思う。実践して気付いたのは「行く先々の小さな集会で会うのは、自民系の人ばかり」ということだった。野党系、特に労働組合系の議員とはほとんど顔を合わせなかった。

この元市議は言う。「そもそも、小さな集会は、地域に後援会を持たないと情報が入ってこない。後援者の手引きがなければ、私も小さな集会の開催を知り得なかった」。

 労組系の議員は、どうしても、自らが支持を受ける労働組合を向きがちだ。民主党県連の幹事長を務めたことがある地方議員経験者は、「野党の議員は『この組合は、この人を支持』と決めて、一人の議員が、その組合の支持をすべて持ち去る。しかし、自民党をはじめとした保守系議員は、一つの団体であっても、複数の議員や候補で支持を奪い合う」と解説する。

 旧民主党の職員は「民主党の地方議員は行政の公式行事には呼ばれるが、町内会のような任意団体には呼ばれない。町内会のような身内で固める非公式の組織で、リーダーシップを発揮する人は、いずれ自民系の地方議員になるケースが多い。町内会のような任意団体にとって自民系議員は、内輪の仲間。一方で、野党議員は外側の人」と語る。「象徴的なのが、夏祭りでの振る舞いだ」という。自民党議員は「相手との関係性」を重視するから、必ず、祭りの主催者に頭を下げて、関係者と雑談を繰り返していくが、旧民主党系の議員は「露出の数」で勝負しようと、白い目で見られながら、会場の外で法被(はっぴ)を着てビラ配りをするという。

「相手との関係性」を大切にすること、つまり、地縁血縁を生かし、関係性を作り上げて、選挙基盤を強化することは自民党系議員のお家芸であろう。

■地元に根差した知識

 21年衆院選で、勝ち上がってきた野党議員は、政策論をつむぐよりも、人間関係を作り上げてきた場合が多いようだ。自民党と同じようなやり方で支持を広げたわけだが、こうした手法は、何も日本ばかりではなさそうだ。

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