バリアフリー法とホームドア

 そもそも鉄道駅にはホームドア設置を求める法律がある。2006年に施行された「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、通称「バリアフリー法」である。

 この法律の第8条「公共交通事業者等の基準適合義務等」と関連省令を併せて読むと、新駅についてはホームドア設置が原則義務づけられ、既存駅については努力義務であることが分かる。

東海道新幹線のホームにあるホームドア(2020年撮影)
東海道新幹線のホームにあるホームドア(2020年撮影)

 国交省鉄道局の担当者は、こう説明する。

「ただ、新駅であってもホームドア設置が難しいことがあります。路線にさまざまな車両が走っていて、乗降口の位置が一定していない場合です。例えば、小田急電鉄の場合、通勤電車や特急ロマンスカーのほかにも他社の相互直通運転の電車も入ってきます。なので、関連省令は新駅へのホームドア設置に条件を設けています」

 その条件とは以下のようなものだ。

<発着するすべての鉄道車両の旅客用乗降口の位置が一定しており、鉄道車両を自動的に一定の位置に停止させることができるプラットホームにあっては、ホームドア又は可動式ホーム柵が設けられていること>

 ちなみに、九州新幹線はバリアフリー法の施行前の04年に開業したにもかかわらず、当初からすべての新幹線駅にホームドアがつけられていた。その理由をJR九州は、こう説明する。

「2001年に国交省から『転落防止策として、すべての乗降場にホームドアを設置してください』と、指示がありました」

 01年といえば、1月にJR山手線の走るJR新大久保駅で転落事故が発生した年である。乗客を助けようとした韓国人留学生ら3人が犠牲になった。この悲惨な事故をきっかけに同年9月、鉄道局は「ホーム柵設置促進に関する検討会」を設置した。

ホームドアは必須ではない

 さて、既存駅については「統一されたホームドア設置基準はない」と書いたが、JR東日本は省令を根拠にホームドアを設置している。それが「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」である。

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鉄道事業者「独自」のホームドア設置基準