2018年の夏の甲子園を制した大阪桐蔭は地元・大阪の選手が5人プレー
2018年の夏の甲子園を制した大阪桐蔭は地元・大阪の選手が5人プレー
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 8月6日に開幕する全国高校野球選手権。3度目の春夏連覇を目指す大阪桐蔭に注目が集まっているが、このようなチームが出てきた時に必ず言われるのが「全国から良い選手を集めているから勝てるのは当たり前」と言った批判だ。例えばプロに進んだ中田翔巨人)は広島、根尾昂(中日)は岐阜から入学してきており、そういった選手が目立つからゆえの意見と言えるだろう。

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 しかし甲子園優勝校は本当に他県出身の選手が多いのだろうか。過去5大会の優勝校のベンチ入りメンバーについて調べてみたところ、以下のような結果となった(2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で大会中止)。

・智弁和歌山(2021年・和歌山)
和歌山:9人 大阪:4人 奈良:3人 兵庫、鳥取:各1人

・履正社(2019年・大阪)
兵庫:10人 大阪:8人

・大阪桐蔭(2018年・大阪)
大阪:5人 奈良:2人 北海道、栃木、愛知、岐阜、滋賀、京都、和歌山、兵庫、徳島、愛媛、佐賀:各1人

・花咲徳栄(2017年・埼玉)
埼玉、東京:各5人 大阪:2人 栃木、群馬、新潟、千葉、神奈川、兵庫:各1人

・作新学院(2016年・栃木)
栃木:18人

 こうしてみると、やはり目立つのは2016年の作新学院だ。ベンチ入りメンバーが全員栃木県出身となっている。また少し遡ると2013年の前橋育英(群馬)もベンチ入り18人中17人が群馬出身となっていた。2019年の履正社も大阪と隣接する兵庫で全メンバーが構成されている。これを見れば甲子園で優勝しているチームが必ずしも全国から選手を集めているわけではないということがよくわかるだろう。

 2018年の大阪桐蔭と2017年の花咲徳栄は確かにあらゆる県から選手が入学してきているが、それでも大阪桐蔭は近畿出身(滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山)が18人中11人、花咲徳栄も地元の埼玉を含め関東出身選手(埼玉、東京、栃木、群馬、千葉、神奈川)が18人中14人となっている。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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選手を全国から集めただけでは勝てない?