――自分の名前を冠したバンドを作ったことで、剣さん自身もやりたいことをやれるようになったのでは?
そうですね。ただ、大事なのは自分の名前より、楽曲が有名になることなんです。たまに海外の人から曲の感想が送られてくるんですけど、そうやって曲が独り歩きしてくれるのが幸せなので。バンドをやるうえで、いちばん大切なのは“楽曲様”。僕もそうですけど、メンバー全員が楽曲の下僕だと思ってるし、自分のエゴではなくて、全員が「楽曲を良くするためにどうしたらいいか?」を優先していけば、意見のぶつかり合いも意味があるんですよね。僕自身リーダーとしての器ではないですし、「黙って俺について来い」というタイプでもないので、僕らの教祖は“楽曲様”です(笑)。11人の大所帯なのでたまにはモメることもありますけど、「俺が取っておいたウニをあいつが食べた」みたいなくだらない話ばかりですね、ええ。
――(笑)。
■否定にも肯定にも敏感でいたい
――ファンの好みを意識することは?
お客さんの意見はいつも賛否両論で、リリースのたびに「最高」と「最悪」が同時に聞こえてくるんですよ。リクエストを取っても票が割れちゃうので、気にしてもキリがないんですよね。ただ、良くない評価を知ることも必要だと思ってるんです。肯定的な意見ばかりでも不安になっちゃうし、いろんなことに敏感でいたいというか。人の意見もそうだし、季節の移り変わり、温度、湿度、匂いを感じることで、それが楽曲に変換されるので。
――なるほど。ショーアップされたライブもCKBの魅力。「イイネ!」のポーズでテレビ台の上に乗ってグルグル回るなど、お決まりの演出もありますね。
決まったことをやるのが好きなんですよね。「オレたちひょうきん族」よりも「8時だョ!全員集合」のほうが自分好みだったので(笑)、お約束があるからこそ、ハプニングが盛り上がる。ジェームス・ブラウンのマントショー、チャック・ベリーのダック・ウォークもそうですけど、何回も繰り返すことでお客さんの「観たい」という気持ちが高まるし、興奮も増すので。その代わり、セットリストは毎回かなり違いますし、リアレンジすることもあります。「タイガー&ドラゴン」は必ずやりますけどね。以前、カッコつけて「やりたくない」なんて言ったこともあるんですけど、やっぱり大切な1曲なんですよね(笑)。
――ステージ衣装は基本、全員お揃いのスーツ。ダンディですよね。
Suchmosみたいに普段着でもカッコよければそれがいいんですけど、ウチはそうじゃないので(笑)。メンバーのキャラもデコボコなので、着るものをある程度、統一させたほうが、逆にメンバーの個性が際立つんじゃないかなと。本当の個性ってそういうもんかなとも思います。