もちろん巨人もこれらのことは当然認識しているはずで、ソフトバンクに倣って三軍制を導入し、来年にはファームの新たな球場が開場予定となるなどハード面への投資も積極的に行っている。ただ、育成ドラフトで獲得した選手を鍛えて一軍の戦力とするのはどうしても時間がかかるため、あと数年はそれ以外でやりくりする必要はどうしても出てくるだろう。

 2リーグ制になった1950年以降、巨人がBクラスに沈んだのはわずか8度で、最下位は長嶋茂雄監督1年目の1975年しかない。今年はそれ以来となる危機を迎えているとも言えるが、今後どのように巻き返しを図っていくのか。残りのシーズンの原辰徳監督、そして球団の動きに注目だ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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