安倍晋三元首相の襲撃事件から1カ月が経ち、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が8月10日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で記者会見を開いた。会見時間の約1時間10分のうち、40分間は田中富広会長が原稿を読みながら主張する場面が続いた。会見後、出席した外国人記者からは不満の声が上がった。
午後3時から始まった会見には、田中富広会長と法務担当者の2人が出席した。
会場で最前列に座っていたフランスの公共ラジオ局「ラジオ・フランス」と新聞「リベラシオン」の特派員、西村カリンさんは、質問時間に入ると手を上げ、最初にこう質問した。
「冒頭で謝罪して、その後40分かけて何も悪いことをしていないという意味のことを言っていた。田中さんの謝罪の意味をもう一回、説明してもらえますか」
この質問に対し、田中会長は、
「主にこんにちの報道は、2009年以前の私たちのいわゆる負の部分がクローズアップされております。そのことがメディアを騒がせ、多くの混乱を招いているということに対する謝罪です」
と答えた。
西村さんはその場面の率直な感想をこう語る。
「(田中会長らの)謝罪の場面があり、頭を下げていましたね。それなのに、自分たちは悪いことをしていないということを言い続けたのはとても矛盾すると思います。形だけの謝罪で、写真を撮らせただけ。謝罪ではなく、あなたがたマスコミが悪いとかいう話をしていた。何の謝罪だったのか。フランスの記者会見では、謝罪する時は、何が悪かったかをちゃんと話します」
さらに、おかしいと違和感を感じたことがあった。
田中会長が、こう語ったところだった。
「私たちの法人並びに友好団体は創設以来、共産主義とは明確に対峙(たいじ)してきた。共産主義問題に明確な姿勢を持っている政治家に対しては国造りに向かって手を合わせて来たと思っています」
この説明について西村さんはこう批判する。