「その情報を教会に『ほうれんそう』(報告・連絡・相談)させて吸い上げる。それを受けて、今度は『壮婦(そうふ)』と呼ばれる主婦信者が『〇〇先生のところでいつもお世話になっています』と言って、訪ねるわけです。議員の名前を出せば、みんな信用するじゃないですか。そうやって目星をつけた家に入り込み、財産をすべて奪い取る。そういうシステムができ上がっているんです」

 先祖の霊の存在を信じ込ませて、不安をあおり、大切な家族を守るためといって、すべての財産を献金させる。その手口は基本的に霊感商法と変わらない。

「でも、霊感商法で壺を売ったとしても、100万円単位の金にしかならない。それよりも資産家から一挙に1億円とか10億円をむしり取った方が効率いいわけです」

収奪の本質は何も変わらない

 一方、教団広報部によると、献金の形態は基本的に三つだけという。

「月収の10分の1を天にお捧げする『月例献金』、日曜日に礼拝を受けた後に100円とか200円の現金を献金箱に入れる『感謝献金』、願いが叶ったときや悩みが解消したときに感謝する『無記名献金』だけです。もちろん、献金を強いるかたちでいただくことはありません」

 いのうえさんさんは、こう訴える。

「昔も今も旧統一教会の本質は何も変わっていません。彼らは議員に近づくことで、人々を信用させ、金をむしり取っている。その実態を知ってほしい。そして優秀な若者たちがマインドコントロールによって、霊感商法などの犯罪行為に巻き込まれていることを、多くの人に知ってほしいと思います」

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)

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