「イケメン東大生昆虫ハンター」として人気を集め、虫の魅力を伝え続けている牧田習さん(25)。東京大学大学院農学生命科学研究科に在籍し、昆虫研究者としての顔も持つ。「中学生の頃に英語の(昆虫の)研究論文を読んでいた」と話す、生粋の“昆虫オタク”はどのようにして誕生したのか。昆虫と歩んできたこれまでの歩みを牧田さんに聞いた。
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取材当日、大きな虫捕り網を持って現れた牧田さん。特注の虫捕り網で、柄の部分が伸縮し、最長で7メートルほどに達するという。「これ見てください」と満面の笑みでケースを取り出し、ふたを開けると、なかには前の晩に採集したという虫がわさわさ。仕切り板を乗り越えようと、元気に動いている。カメラマンも記者もギョッとしたものの、牧田さんの計り知れない昆虫への情熱を感じた瞬間だった。
――昆虫ハンターとして活動されていますが、印象に残っている昆虫との出合いはありますか。
一番嬉しかったのは、世界最大のカブトムシ「ヘラクレスオオカブト」を南米で観察できたことです。20年ほど焦がれていましたから、思いが強かった分、野生の姿を見ることができたのは嬉しかったです。とはいえ、僕は年中虫捕りをして、常に昆虫のことばかり考えていますから、どの昆虫にも愛着を持っています。国内外で見つけた昆虫の一部を標本にしていますが、約5万点はあるかと思います。道を歩いているときも、黒い影が視野に入る度に、つい採集モードになってしまいます。
――そもそも昆虫を好きになったきっかけはなんですか。
3歳のとき、祖父が捕ってきたミヤマクワガタを目にして、衝撃を受けたことを覚えています。人間とは全く違う形をした生き物が、予想できない動きをする面白さに、一瞬で虜になりました。それからは幼稚園の広い園庭で、よく虫を追いかけていました。小学校にあった自然いっぱいのビオトープも、僕にとって楽園でした。休み時間や体育の時間に入っては、虫捕りに熱中していました。授業中も教室を抜け出して虫捕りに行き、よく注意されていました。近所の博物館や昆虫館に入り浸って、虫について教えてもらったりもしていました。