丸岡さんには、一人の「恩人」がいる。今年7月にステージ3の食道がんを公表した女優の秋野暢子さん(65)だ。
「秋野さんとはずっと親しくさせていただいていたのですが、私が離婚した時もすぐに連絡をくれて励ましてくれました。言葉がすごく心に響いてくるんです。秋野さんは、病気などで髪を失った子どもたちにウィッグ(かつら)を寄付するヘアードネーションという活動や、被災地で『健康体操』をレクチャーするために全国を回ったりする活動をされています。あるとき、『なぜそうした活動をされているんですか』と率直に聞いたことがあるのですが、秋野さんは『いずみちゃんも、もうちょっとしたら、自然とそういう気持ちになるから』と言われたんです。私の復帰は息子の一言が大きかったとはいえ、いろんな人がサポートしてくれたからこそ、今があります。私も秋野さんのように、他人のために生きたい、私が行動することによって、誰かが救われるようなことをやっていきたいなと思うようになりました」
誰かのために生きる――丸岡さんは、それを実践するために動きだした。8月1日、埼玉県春日部市にある通信制の高校「松実高等学園」の顧問に就任したのだ。同学園は不登校になった生徒にも学習の場を提供していることで知られている。丸岡さんは早大大学院で心理学を学び、卒業後にカウンセラーの資格も取得した。顧問として、そうした知見も生かしていくつもりだという。
「いろんな理由で不登校になった子どもたちが多いんです。心の傷を持って来ている生徒もいる。だから、音楽や芸術など、自分の本当にやりたいことを見つけて、それができる環境が整えられているんです。学園には『ミュージックコース』もあって、芸術の分野にすごく力を入れています。私以外にも歌手の平原綾香さんやエレファントカシマシさんの音楽を手がけている音楽プロデューサーのYANAGIMANさんも指導をされています。学園側からは、コミュニケーションの取り方や話し方、記者経験、放送局の中の話などもしてほしいと言われています。私にはちょっと荷が重いかもしれないなと思いつつも、できることがあればということで(顧問を)お引き受けしました」