学童野球での盗塁や暴投・捕逸による進塁をどうすべきかは、近年、しばしば議論の対象になってきた。

 なぜなら、こうした「無限ループ」に陥ると投手と捕手は延々とボールを投げ続けるため、ひじや肩を壊しかねない。夏場の長い守備は熱中症の危険も伴う。さらには「試合にならない試合をさせて、子どもが野球という競技を面白いと思えるのか」という、子どもの野球離れにかかわる側面も無視できない。

 ちなみに小学生野球でも硬式球を使う「リトルリーグ」では、「走者は投球がホームベースを通過するまでは離塁できない」とルールに定められており、事実上、盗塁はできない。一方で同じ硬式の「ボーイズリーグ」など盗塁と暴投・捕逸による進塁ができるルールのリーグもあり、子どもたちの野球でもまちまちである。

 学童野球でこうした盗塁禁止の議論が起きやすい理由について、ある強豪硬式チームの指導者はこう推察する。

「盗塁ができる硬式リーグでも、小学生の試合ではかんたんに盗塁されてしまう場面はありますが、学童野球はもっとだと思います。野球に打ち込みたいという上手なお子さんもいれば、興味を持ったからまずはチームに入ってみようというお子さんもたくさんいて、硬式より間口が広いからです。チーム方針もさまざまで、『強くなろう』であったり『楽しみながらがんばろう』であったりが同じ土俵にいるため力の差が大きくなる。だから、四球続き盗塁され放題、という現象がより起きやすいのだと思います」

 全日本軟式野球連盟では今年から学童部のルールについて2項目を改訂。投手や捕手のケガ予防、熱中症対策の観点で「一試合7イニング制を6イニング制に・試合時間は1時間40分から1時間30分に」「ホームベースを大きくする(2022年は全国大会のみで採用)」とした。

 この他にも6項目のルール改訂案があり、その中には今回取り上げている「盗塁制限・及び禁止」「ワイルドピッチ及びパスボールによる進塁禁止」が含まれていた。だが、こちらは継続審議となった。

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現場からは「盗塁は必要」という意見が多数