江森さんによると、「教育パパ」ぶりは発揮されている。夏に海や湖に出掛けたときなど、「もし落ちたときは、泳げないと生命が危ないから」と、指導には熱が入っていたという。
さて、そうした教育を受けた秋篠宮さまだが、自身が上皇さまのような「教育パパ」になることはなかったようだ。
江森さんの問いかけに、
「自分の子どもたちには、泳ぎ方を指導したりしていません。反省したいと思います」とばつの悪そうな顔を見せたという。
秋篠宮さまが大切にしたのは、実地のフィールドワークだった。
家禽(かきん)類の研究で理学博士号を取得した秋篠宮さまは、動植物に造詣(ぞうけい)が深い。悠仁さまも幼いころから昆虫が大好きで、図鑑を熱心に読み、皇居などでトンボの観察や虫捕りに熱中した。
秋篠宮ご夫妻は、子どもが幼いころから国内各地の自然に触れ、土地の文化を学ぶ機会を積ませてきた。
悠仁さまが10歳のころには、東京の島を見たいと、紀子さまと小笠原諸島の父島や母島を訪れた。一般客と同じフェリーに乗り、24時間の船旅だった。
前述の通り、中学1年生の夏には秋篠宮ご夫妻とブータンを訪れ、文化の違いを現地で学んだ。
一方で、皇位継承順位2位の悠仁さまが受ける「帝王学」にも注目が集まる。江森さんは、こう話す。
「ご自身が学者である上皇さまは、ニワトリなどの研究者でもある秋篠宮さまに大きな影響を与えました。秋篠宮さまが小さいころ、東宮御所には、魚類学者である父親(上皇さま)が研究で使う魚を飼うための池や水槽があり、野鶏(やけい)もいたそうです」
秋篠宮さまが父親に連れられて東宮御所の散歩をすると、
「あれがソウギョだよ」「いま、池の水面に顔を見せたのがハクレンだ」などと教えられたという。
秋篠宮さまが学者として活躍する分野の原体験には、父親が登場することは珍しくないという。
小学校低学年の秋篠宮さまが、冬の日にテンジクネズミを池で泳がせ、心臓マヒで死んでしまったことがあった。ちょうどそこを通りかかった父親に、何をしているのかと尋ねられ、「テンジクネズミを泳がせたら死んじゃった」と答えると、次の瞬間、父親は秋篠宮さまを池の中に入れたという。