「ホグウェイでは多くの人が最後まで元気に歩き回っていて、亡くなる3日ぐらい前になると外に出られなくなり、やがて水分が取れなくなり、静かに亡くなるのだそうです。認知症の人でも、そのほとんどがピンピンコロリで亡くなるとは驚きでした」(同)
アルツハイマー村やホグウェイでのケアは、「介護ではなく、人生をつなぐための帆走」であり、「認知症でも、発症以前に近い暮らしを営めるしくみができていると感じた」と話す畠中さん。
「日本の介護事業では、どうしても効率化や時間の管理などが必要で、そうしないと経営的に成り立たない実情があります。アルツハイマー村やホグウェイでは、あえて効率の悪い介護をしているため、日本で同じような施設をつくろうと思ったら経営者には相当な覚悟が必要であり、実現は難しいでしょう。ただ、その理念を応用し、認知症でもその人らしく暮らすためにできる工夫はあるのではないかとも、二つの村を見学して感じましたね」(同)
(文・出村真理子)