平均ストローク、平均パット数、パーオン率、リカバリー率など部門別ランキングも史上初めて全部門を制覇した。また、この年は1億4932万5679円を稼いだが、これは男子ツアーの賞金王・平塚哲二を上回る賞金額だった。

 この後の不動は04年に7勝、05年には6勝し6年連続で賞金女王に君臨。最近では考えられない勝ちっぷりで、まさに“絶対女王”の名に相応しい強さを発揮していた。

 そんな不動は、6年連続賞金女王の偉業があまりにも目立つが、女王の座を降りた後も、色褪せないプレーを見せてくれていた。賞金ランク15位となった06年と同6位の07年に2勝ずつすると、08年は4勝し賞金ランク5位。シーズン4勝は女王となった古閑美保と不動だけで、勝負強さは健在だった。

 09年こそ未勝利に終わったが、10年と11年は2勝ずつしツアー通算50勝を達成。生涯獲得賞金額は13億円を超え歴代トップとなっており、浮沈が激しい女子プロゴルフの世界で長い間、ツアーの顔としてプレーしていたことには頭が下がる。

 また、不動を語る上で欠かせないのが、宮里藍や横峯さくらなど、今の女子ゴルフ人気の基盤を築き隆盛を極める要因となった新星たちの大きな壁となったことだろう。

 特に印象的だったのは04年シーズンの最終戦、LPGAツアー選手権リコーカップだ。4年連続賞金女王で、この時点で賞金ランクトップだった不動に対して、当時19歳だった宮里はルーキーシーズンに5勝し“藍ちゃんフィーバー”を牽引。賞金女王争いは、二人がこの最終戦までもつれこみ、“絶対女王”と“スーパーヒロイン”のマッチレースが期待された。

 すると初日からペアリングした二人は、不動が首位発進すると宮里も負けじと、1打差の2位スタート。2日目は二人が揃ってスコアを崩しともに3位で並ぶと、3日目には宮里が単独トップに浮上し、不動は2打差の2位。こうして4日連続で同組、しかも最終日最終組での直接対決が実現することになった。

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