――ちなみに、矢島さんってどういう人間なんですか。

 どういう人間なんだろうな。自分探しの途中というか、その場のノリに合わせて結構楽しくはできるんだけれども、振り返りながら、家で反省するタイプかなと勝手に思っていますね。

――『ペーパー・リリイ』も『人間みたいに生きている』も、どちらも夏が舞台の物語を連続して書かれています。夏への思いが強いのでしょうか?

 7月に『ペーパー・リリイ』っていうロードノベルを出版していまして、『人間みたいに生きている』も9月7日に発売。どちらも夏の話で刊行時期が近いんですけど。なんで夏にしたのかな? 昔から夏が好きですが、概念としての夏が好きなだけで。

 青春ものを書くっていう時に、どういう舞台でどういう環境でと考える際に、一番良い組み合わせが夏かなって思うんです。青春ものって実際、夏の季節が多いと思うんですけど、一瞬の光みたいなところもあるので、夏を舞台に書いてしまう気がします。

――小説の中で、光と水の描写が綺麗でした

 光はちゃんと書いておかないといけない。他のいろんな作品でも、光の描写には力を入れて書いている気がしますね。今回は主人公が唯一、水が自分の体内に入れられるっていうキーアイテムでもあったので、水はちゃんと描こうと意識していました。

 光と水は確かに、テーマとしていたのかもしれないですね。唯が最初に、受け入れられる人物として出てくる泉も、水の名前ですし。

■後付けした名前も、書き終えたときにしっくり来る

――作品に出てくる人物に名前をつけるとき、どう考えていますか?

 どちらかっていうと、後付けの方が多いんです。唯(ゆ・い)とかだと、唯一(ゆい・いつ)っていう感じで、ただ1つとも取れる。個人の体と心は「唯一=ただ1つ」なんだよっていう、ぴったりな名前になっていました。まあ、後から気づいただけなので、ちょっと作為的かどうかは怪しいんですけれど(笑い)。

 書き終えた後に唯と泉で、「あっこの2人はこの名前だったんだな」ってしっくり来ましたね。名前の付け方って他の作家さんは、どうしているんですかね。私が聞きたいです。

――今回、事前に書店員さんや読者の方、たくさんの方から感想をいただいていて、その中には中高生にも読んでほしいという言葉も沢山ありました。

 今回で、3作品目なんですけど、1作2作3作品すべて、10代の女の子を主人公に書いています。私は第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞していて、氷室冴子さんは少女小説界のGOD! そんな氷室冴子さんの名前を冠した賞出身ということもあります。 

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