世耕弘成氏
世耕弘成氏
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 11月27日投開票の和歌山県知事選。和歌山といえば、自民党の二階俊博元幹事長のおひざ元だが、候補者選定をめぐり、同じく和歌山県選出の世耕弘成参院幹事長と二階氏との間でつばぜり合いがあった。結果をみると、“権謀術数”はまだまだ二階氏が上のようだが、世耕氏も底力を見せつけた。

【写真】和歌山県の“ボス”といえばこの人

 知事選にはこれまでのところ、国民民主党を離党した元衆院議員の岸本周平氏と、元総務官僚の本間奈々氏が、いずれも無所属で立候補を表明している。現職の仁坂吉伸氏は立候補しない方針だ。

 そうした状況のなか、自民党和歌山県連は9月23日、拡大役員会を開き、岸本氏を推薦することで、本部と調整することを決めた。

 実は、この決定に至るまでには紆余(うよ)曲折があり、様々な関係者の思惑が見え隠れしていた。

 現職の衆院議員だった岸本氏が立候補を表明し、国民民主党に離党届を出したのは今年5月。だが、当初、自民党県連は、岸本氏以外の独自の候補擁立に向けた動きを模索していた。

 県議19人が衆院和歌山2区選出の石田真敏元総務相へ「連判状」を持って、知事選への立候補を求めた。

 しかし、石田氏は、

「県議は28人いる。全員が応援するということなら、考えますが」

 と伝えるにとどめた。

 そこで候補者選びに乗り出したのが、世耕氏だ。地元県議らの声に押され、和歌山市出身の総務官僚で、現在、青森県総務部長を務める小谷知也氏を口説き落とした。

 9月3日の県連の候補者選考会で小谷氏の推薦が決まり、党本部に推薦願を出した。

「世耕氏が小谷氏を擁立して当選させることができれば大手柄。知事を自分の側近で取れたら一気に参院から衆院にくら替えし、世代交代にもっていくことができる。世耕氏も勝負に出たなと思った」

 と自民党幹部は話す。

 小谷氏と親しい総務省関係者も、

「小谷氏は世耕氏から誘われて、やる気満々でした」。

 「小谷知事」への流れが出来たかに見えた――。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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「二階先生の世耕先生への反撃です」