そして、現役信者は1冊の本を取り出した。
「神様の理想家庭と平和世界のモデル 天宙平和連合創設 世界100カ国巡回講演文」
とあり編集・発行は、教団の前身の「世界基督教統一神霊協会」とある。
UPFはこれまで旧統一教会の「関連団体」とされていたが、この本からは両者はほとんど「一体」であることがうかがえる。
安倍元首相も細田氏も、実質的には旧統一教会が主催の会合でスピーチしていたことになる。
細田議長の「紙1枚」の発表の翌日の9月30日、自民党は、国会議員と旧統一教会との関係について追加調査した結果、12人から追加報告があったことを明らかにした。
これで自民党の国会議員、379人のうち180人が旧統一教会と接点があったことになる。
新たな発表では、旧統一教会主催や関連団体の会合であいさつをしていた木原誠二官房副長官と元デジタル相の平井卓也衆院議員、旧統一教会の韓鶴子総裁を「マザームーン」と繰り返していた山本朋広衆院議員、安倍晋三元首相と近い江島潔参院議員らの名前が挙がった。
そして、かねて指摘されてきた山際大志郎経済再生担当相。これまでに関係団体に金銭を払ったことや、会合に出席していたことを認めているが、新たに「11年にナイジェリアで教団関連団体が開催した国際会議に参加した」などと説明した。
自民党の発表は「紙2枚」。茂木敏充幹事長が、マスコミに対応したのは記者クラブのみ。
「当然、テレビカメラなどの撮影も不可で、茂木幹事長の説明だけ。当初は、茂木幹事長のコメントとして使うこともダメと言われていた。最後はコメントだけはOKになりましたが、旧統一教会の問題を小さくしようとしている感じがします」
とクラブに所属する記者が打ち明ける。
コンプライアンスに詳しい東京地検特捜部元検事の郷原信郎弁護士は、
「コンプライアンスというのは、説明の仕方、対応、記者会見の話し方などで信頼回復という面があります。しかし、今の自民党の旧統一教会への対応はコンプライアンス以前に、まったくお話になっていません」
と指摘する。