「(巨人は)目先の勝利を求められるので、実績ある選手を使わざるを得ない。監督人事も同様で、他球団であれば早々と阿部新監督誕生の可能性もあったかもしれない。しかし未知数のルーキー監督を許してくれる状況ではない。しばらくは原監督のもとでチーム立て直しとなるだろう」(在京球団編成担当者)
「(監督として声がかからないのは)阿部コーチの手腕とは別の部分。指導者として就任直後は罰走をさせたり昔ながらの叱咤激励をする様子も見かけた。これは現役を引退して直後のコーチに見られる傾向。経験を重ね、時代に即した方法に変化し、指導者としても成長している」(巨人OB)
“阿部監督”誕生の条件は揃いつつあるが、今はバトンタッチのタイミングではないのかもしれない。編成面の権限も有する原監督が指揮を執る中、然るべき時が来れば阿部監督誕生の可能性はあると見られている。
一方、ソフトバンクは昨年オフに藤本新監督が誕生した際に驚きの声もあった。それは当時ヘッドコーチだった小久保が監督に昇格すると思われていたからだ。
小久保は巨人に在籍した期間もあったが、16年間ホークスでプレーした球団の顔ともいえる存在。現役引退後は2013年10月に常設化された侍ジャパン初代監督に就任し、2017年の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)ではチームを準決勝に導いた実績もある。工藤監督の後任を務めることは濃厚と見られていたが……。
「(小久保は)自分自身の野球哲学を持っている昔ながらの監督タイプ。ソフトバンクはファーム施設を充実させ、球団のビジョンをもとに強化と育成を図るが、そこへの対応が不十分と判断されたのだろう」(ソフトバンク担当記者)
小久保は一軍のヘッドコーチを任された2021年、攻撃面での選手起用を一任されていた。チーム全体の調子が上がらない中、不調の松田宣浩、今宮健太など従来のレギュラー陣に固執し、打開策を見い出せなかった。結果的に選手起用に関して経験不足を露呈してしまい、監督就任は時期尚早と判断されたという。