立憲民主党の神奈川県連が揺れている。県連に所属する4人の女性議員が実名、顔出しで相次いで党幹部らの「ハラスメント」を告発するという前代未聞の事態になっている。いったい、リベラル政党の内部で何が起こっているのか。被害を訴える女性議員と告発された“当事者”らを訪ね、背景を徹底取材した。
【画像】大野氏が「臨月期」に課せられていたという選挙応援のシフト表
* * *
相次ぐ告発の口火を切ったのは、次期選挙の公認が得られなかったことなどが「マタニティーハラスメントを含むハラスメント」だと訴えた横浜市の大野トモイ(知意)市議だった。
9月7日、横浜市役所で記者発表を行い、今年4月22日の神奈川県第7区総支部の常任幹事会で「妊娠・出産で(地元)活動量が低下した」と指摘を受け、8月22日に党神奈川県連から、次の選挙では「公認を見送る」と通知されたことが“マタハラを含むハラスメント”にあたると訴えた。
コトの経緯は約2年前にさかのぼる。大野氏は長きにわたる不妊治療をへて、2020年末に長女を自然妊娠したことがわかった。以後、大野氏は妊娠悪阻(にんしんおそ)や切迫流産で3度の入退院を繰り返しながらも、議会活動を続けていたという。
労働基準法では、産前6週、産後8週の産休が取得できると定められているが、地方議員は「特別職地方公務員」にあたるため、産休規定は適用外となる。妊娠や出産をした女性議員に関しては、議会や党ごとに運用が異なっているのが実情だ。
「私も、産前6週の時期に入る昨年7月14日から党務を休むことを、神奈川県第7区総支部長の中谷一馬衆院議員に伝えていました。それにもかかわらず、中谷事務所からは『1日あたり3時間以上駅頭に立ち、200枚以上のビラを配布する』内容のシフト表(案)が示されたのです」(大野氏)
大野氏によると、そのシフト表は、神奈川県第7区総支部のメンバーが日頃から情報をやりとりしているフェイスブックのメッセンジャーグループで、中谷事務所の秘書から送られてきたという。