千葉県・富浦の海で「遠泳」に挑む筑波小の6年生。隊形を組んで1時間程泳ぎ続ける(長谷川フォト・プロ)
千葉県・富浦の海で「遠泳」に挑む筑波小の6年生。隊形を組んで1時間程泳ぎ続ける(長谷川フォト・プロ)
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 日本の初等教育の研究校として、全国の小学校をリードする国立の名門・筑波大学附属小学校。入学定員128名に対し、毎年約4千人もの志願者が殺到する超人気校だ。その理由は、高い学力と強い心身を育て、自主性を大切にする教育にある。また、代々受け継がれてきた学校行事に、熱心に取り組む校風も定評がある。そのひとつ、6年生の夏の挑戦をご存じだろうか。

【写真】完泳できた喜びに涙をぬぐう児童

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 筑波小の6年生が今夏も、千葉県南房総の富浦の海で「遠泳」に挑んだ。主宰の筑波附属中学校同窓会「桐游倶楽部」や医師が見守るなか、児童たちは2列の隊形を組んで、1時間程泳ぎ続けて完泳を目指す。

 富浦遠泳行事の歴史は長い。桐游倶楽部の記録書によれば、小学校は1965年、中学校は1904年に始まった。小学校の行事としては、千葉県南房総市の豊岡海水浴場で水泳合宿を行い、2日間の練習を経て、最終日に遠泳を行うというものだ。コロナ禍の影響で、一昨年は中止、昨年は遠泳中止の縮小開催となっていたが、今年は学年を2グループに分け、前・後半と日にちをずらす策をとった。

「遠泳」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、小学生にとって難しい挑戦なのでは、という疑問だ。指導する体育専科の齋藤直人先生に聞くと、「挑戦は1年生から始まります。大切なのは6年間かけて目標に向かって練習を積み重ねること、その結果、泳力と自信がついてきます。不安な挑戦ではなく、自信ある挑戦なのです」と話す。1年生から富浦の海で泳ぐことを見据え、6年間の水泳指導に基づく計画的な挑戦なのだ。

 筑波小の6年生には、代々受け継がれてきた伝統がある。最終学年として「3つの山」へ挑戦するのだ。この富浦遠泳こそが、最初に待ち構える山となる。残る2つは2600メートル級に及ぶ八ケ岳登山と運動会の組み立て運動だ。低学年のうちからこの3つの大きな山を乗り越えることを目指して、計画的な指導が行われるという。そのなかで、仲間と協力することの大切さを学び、困難に立ち向かっていく強い心を育むことが狙いとなる。

「体力づくりという意味では、朝の活動も関係しているかもしれません。筑波の朝は早いんですよ」と齋藤先生。8時頃から1時間目が始まるまでの時間は、どの学年もクラス単位で体を動かすことにあてられる。高学年になると取り組むことを児童自身が考えるクラスもあるそうだ。とくに運動会が近くなると気合が入る。運動会での勝利を目指し、坂道ダッシュや担任との練習で盛り上がるという。こうした毎朝の積み重ねがパワーの源になっているようだ。

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3年生の時点でどの生徒も泳げるようになる