五ノ井さんによると、4人は退職の意向で、処分が出るのを待っている段階だとという。

 4人のうち、3人は、2021年8月に山の訓練中に性加害を加えた人物で、五ノ井さんが警務隊に「強制わいせつ罪」で被害届を提出していた。22年5月31日付で、3人は不起訴処分になったが、6月7日付で検察審査会に不服を申し立てし、9月7日付で「不起訴不当」と議決され、いま再捜査が行われている。

 改めて行われる検察の聞き取りにつて、男性隊員は「うそをつかずに正直に話す」とし、「事実を認めて罪を償う」ことを約束したという。

 五ノ井さんは、4人から直筆の手紙を受け取ったという。そこには、男性隊員からこのような文言があった。

「五ノ井さんが陸上自衛官として勤務、活躍したいという夢を私の軽率な行動で壊してしまい大変申し訳ございませんでした」

「長い期間五ノ井さんに対して不快な思いをさせてしまい本当に申し訳ございませんでした」

「五ノ井さんのお気持ちを深く考えず、私の軽率な言動によって傷つけてしまった事は事実であり、ただただ深く猛省するばかりです」

「五ノ井さんが入隊してから中隊にすぐなじめるような環境づくりをしてきたのですが、その一方で五ノ井さんに対して距離が近づきすぎ不快に思わせてしまい深く反省しています。不快に思わせて自衛隊を退職に追いやった事実には間違いありません。後輩隊員のことを思って、この一二年間勤務してきたのですが、一人の後輩隊員の夢を閉ざしたのも事実なので上官という立場でありながら守ってあげられなかったことは深く反省しています」

 手紙は、差出人である隊員らの名前を書かないよう五ノ井さんが要望した。無記名の理由は「隊員たちの家族に配慮した」という。

 会見で五ノ井さんは、4人の男性隊員の家族について触れ、

「4人にも家族がいます。お子さんや奥さん、みんなが加害者4人の訓練の帰りを信じて待っている。そのなか、こういう(犯罪)行為をすることは、私だけが被害者(として苦しむの)ではなく、信じて待っている家族への裏切りでもあると思っています」

 と話した。そして、男性隊員らには、こう伝えたという。

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今回の直接謝罪を「区切りにしたい」