寂しく悲しい。そして、音のない世界で生きるようになる想の、目黒蓮さんの顔の美しいこと。

 それがまた悲しく。

 本当は好きだったのに、別れなければいけなくなってしまったという王道の物語に、これまた、鈴鹿央士さん演じる湊斗。この立ち位置。どこかで見たことある。そうです。「あすなろ白書」の取手くん的な。とてつもなく切ない二番手。このポジションが輝けば輝くほど視聴者は湊斗君に感情移入していく。

 ヒットドラマの方程式が、綺麗に入り込みながらも、脚本を書かれている生方美久さんは、これが連ドラ初で、まだ30歳にもなってないそうで。この脚本がまた素敵なんです。

 狙いすぎてないし、物語の中でのキャラクターを追い込み過ぎず、見てる人の気持ちを案外早めに解放させてくれるところが、いいんです。これが今の若者の気持ちにドハマりしている理由の一つなんじゃないか。すごい脚本家さんが出てきました。しかも原作物じゃなく。

 オリジナルストーリーなんです。それがまた素敵です。

 想のお母さん役を篠原涼子さんが演じていたり、想に寄り添っている女性を夏帆さんが演じたりしていて、きっとこのあと「なにかある」と思わせてくれる空気満点。

 今、テレビをリアルタイムで見ている人はかなり減っているという現実。だけど、テレビで放送しているものを、様々な形でかなりの数の人が見ることに大成功している「silent」。この空気はもっと温度の高い熱となり、ブームになっていくような気がする。

 テレビドラマの大ヒットの新しい形を「silent」が作ってくれるんじゃないか。

 そんな期待も乗せて。最後まで見させていただきます。今からでも遅くないぞーーーーー。

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。パパ目線の育児記録「ママにはなれないパパ」(マガジンハウス)が好評発売中。漫画原作も多数で、ラブホラー漫画「お化けと風鈴」は、毎週金曜更新で自身のインスタグラムで公開、またLINE漫画でも連載中。「インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~」は各種主要電子書店で販売中。コミック「ティラノ部長」(マガジンマウス)、長編小説『僕の種がない』(幻冬舎)が発売中。

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