■「変わらない男」と「変わらなきゃやっていけない女」

 子どもがいる・いないにかかわらず、そのままの仕事を続けている男性と、変わらなきゃいけない女性。本人が望んでいるかどうかより、社会構造がそうなっています。今、私の中には子育てフィルターみたいなものができて、今までと同じようには世の中を見られなくなっています。それをどう使って表現していくか、考えています。

――キャリアという点で、結婚・出産を通して変わったこと、変わらなかったことは。

 変わったことでいうと、20代は自分が成し遂げたいことを早くやっておかなきゃという気持ちがあったんですが、子どもを産んでからは次の世代にバトンを引き継げばいいんだと思うようになりましたね。あるYouTube番組でビッグダディ(林下清志)さんが「人生をマラソンのように感じていたけど、駅伝のように考えたらいい。自分が成し遂げなくても、子孫がなにかやってくれたら自分がいた意味がある」みたいなことをおっしゃっていたのが印象に残っていますが、子育てを始めてからの私の感覚もそれに近いです。私は大きな流れの中の点なんだという視点を持てたことが良かった。大きな価値観の変化でした。

はあちゅうさん(撮影/写真映像部・東川哲也)
はあちゅうさん(撮影/写真映像部・東川哲也)

 逆に変わらないものは、やっぱり経済的自立は大事だなっていうことと、「人生全部コンテンツ」というスタイルは20代と変わっていません。良いことも悪いことも、私の経験を発信して、誰かの役に立ててもらいたいと思っています。

 そして、子どもにも私が働いている姿を見せていきたい。別居を決めた理由の一つでもありますが、パパが仕事をして、ママが仕事を犠牲にして、家のことをするのが当たり前になってほしくない。実際に私はサラリーマンの父と専業主婦の母のもとで育ち、どこかで「母のパートよりも、会社努めの父の仕事の方が価値がある」という意識を持ってしまっていました。働きながら息子を育て、お母さんは強いんだよと見せてあげたい。まあ、完璧ではないので弱いところもあるわけですが、息子には女性と本当に対等でいられる人間になってほしいし、女性が感じる生きづらさにちゃんと想像力を持って対処できる人であってほしいなと思いますね。

 息子をどんな子に育てたいかと聞かれたらDJ社長みたいな人! 明るくて強くて、常に冒険していて、楽しそうに夢を追いかけている。人生を使い尽くしてね、と願っています。

はあちゅう/ブロガー・作家。慶應義塾大学法学部卒。18歳からブログでの執筆活動を始め、電通コピーライター、トレンダーズを経てフリーに。2018年7月にAV男優・しみけんと事実婚を発表、翌年9月に第一子男児を出産。22年9月に事実婚を解消。著書『半径5メートルの野望』、『「自分」を仕事にする生き方』ほか多数。

(構成/AERA dot.編集部・金城珠代)

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