■対処編 回復期・咳や発熱があるときは

 のどの痛みや、咳、発熱といったかぜの症状は、新型感染症の初期症状とよく似ています。区別は難しいので、不調を感じたらまず“外出を控えること”が大切です。

 重症化しやすい人(高齢者や基礎疾患のある人等)、息苦しさ、強い倦怠感、高熱などの強い症状がある人などは、早めに医療機関や保健所に相談してください。

<回復期の対処法>
症状が落ち着いた後も、身体にダメージが残っていることは少なくありません。後遺症を残さないためにも油断をせず、漢方などを用いながら身体が回復するまでしっかり体調を整えましょう。

◆ケース1:邪気が残っている時は

 微熱、空咳、のどの不調、胸の詰まり、食欲不振、軟便といった症状がある時は、弱った「肺」と「脾胃」の働きを整え、体内に残った邪気をすっきり取り除くことを心がけて。

<食の養生>
肺と脾胃の働きを整える食材をとりましょう。
れんこん、ゆり根、白菜、大根、梨、杏仁、みかんの皮、しそなど

◆ケース2:体力を消耗している人は

 体重減少、倦怠感、無力感、息切れ、顔色にツヤがないといった不調を感じる時は、病気で消耗した「気(エネルギー)」と「潤い」を養い、しっかり体力をつけましょう。

<食の養生>
消耗した気と潤いを養いましょう。
大豆製品、かぼちゃ、山芋、キャベツ、卵、鶏肉、白きくらげ、蜂蜜など

◆ケース3:血行不良の人は
関節痛、胸痛、胸の詰まり、息苦しい、手足のしびれ、顔色が暗いなどの症状は「お血(おけつ:血行不良)」のサイン。食生活に気を配り、サラサラ血流を保ちましょう。

<食の養生>
血流を促す食材で血液サラサラを心がけましょう。
玉ねぎ、らっきょう、紅花、ターメリック、シナモン、山椒、サンザシなど

■暮らしの養生

1.呼吸:人が少ない所で、新鮮な空気を深呼吸し、肺を鍛えましょう。
2.換気:毎日窓を開けて、室内の空気を入れ替えましょう。
3.飲食:栄養バランスを考えながら、温食(温かいもの)、好(良)食(好きなもの)、鮮食(新鮮なもの)、潔食(清潔なもの)を心がけて。
4.睡眠:十分な睡眠を確保して、疲労を回復しましょう。
5.外出:マスク、メガネを使用し、三密を避けましょう。
6.清潔:常に手を丁寧に洗う、帰宅後には入浴して、外邪を髪の毛から洗い流しましょう。
7.運動:適度な運動を継続しましょう。家事も運動の一つと考えて。
8.精神:ストレスをこまめに発散して。読書、音楽、園芸、裁縫など趣味を楽しみましょう。

監修:菅沼 栄先生(中医学講師)

監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。 1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。
監修:菅沼 栄先生(中医学講師) 1975年、中国北京中医薬大学卒業。同大学附属病院に勤務。1979年、来日。 1980年、神奈川県衛生部勤務。中医学に関する翻訳・通訳を担当。 1982年から、中医学講師として活動。各地の中医薬研究会などで薬局・薬店を対象とした講義を担当し、中医学の普及に務めている。 主な著書に『いかに弁証論治するか』『いかに弁証論治するか・続篇』『漢方方剤ハンドブック』(東洋学術出版)、『東洋医学がやさしく教える食養生』(PHP出版)、『入門・実践 温病学』(源草社)など。

本記事は、イスクラ産業株式会社が発行する情報誌『チャイナビュー』より、一部改変して転載しました。同誌は日本中医薬研究会の会員店で配布しています