※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 コロナ禍では感染ルートがはっきりして以降もしばらくの間、クリニックを中心とした一部の臨床医が診療拒否を続けたことが問題視された。かかりつけ医とは何かが問われたきっかけでもある。背景にある日本の医療制度の問題、かかりつけ医のあり方やいいかかりつけ医の見分け方について、感染症専門医でグローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝医師に聞いた。

【教えてくれた水野泰孝医師はこちら】

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 コロナの流行当初から、メディアで政府の感染対策や医療体制の問題点について提言をしてきた水野医師。

 東京医科大学病院感染制御部長として従事した後、2019年に開業。もともとは小児科医だが、感染症内科での経験も生かし、地域のかかりつけ医として、小児から大人までを診療している。

 コロナ禍で多くの人が不安を感じたのは、感染ルートがはっきりして以降もしばらくの間、クリニックを中心とした一部の臨床医が診療拒否を続けたことだ。

 水野医師のクリニックにも、「かかりつけ医が診てくれないから」と、来院した患者は多かった。

感染症専門医でグローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝医師
感染症専門医でグローバルヘルスケアクリニック院長の水野泰孝医師

「コロナの患者さんを受け入れるところと、そうでないところとがあった大きな理由としては、日本の医療が自由開業制ということがあると思います」

 自由開業制とは、条件を満たせば医師はどこでも自由に医療機関を開業・経営し、自由に診療科を標榜することができる制度だ。医科で言う標榜とは「〇〇科」の看板で、広告に相当すると考えていいだろう。

 クリニックの入り口やホームページに掲載できる標榜科は医療法という法律で決められており、現在、90以上の標榜科が認められている。「患者等に対し、その医療機関でおこなっている診療を適切に情報提供すること」が目的だが、自由開業制のもとでは、例えば外科医がクリニックを開院する際、内科を標榜することもできるし、内科医が「日常的な皮膚のトラブルには対応できるから」と、皮膚科もあわせて標榜するクリニックもある。

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専門医でなくても、その科を標榜できる