「監督が指示できるのは試合前までとハーフタイムのみ。試合中はピッチ上の選手が全ての責任を負ってプレーする。ゆえに冷静かつ正確な状況判断ができ、11人をまとめ上げる選手の存在は大きい。時に強引なまでのリーダーシップを持った選手も必要になる」(在京J1クラブ強化担当者)
欧州に移籍する選手が増えるにつれ、日本人選手のレベルは飛躍的に伸びている。Jリーグ各クラブの有力選手が次々に海外へ挑戦。かつて三浦知良がイタリア・セリアAのジェノアへ移籍した時のような驚きもなくなり、サッカー選手としてステップアップするための通常ルートになったが……。
「欧州移籍すれば個々のレベルは上がる。しかし各クラブの中軸やキャプテンを任せられる選手はそこまで多くない。大型クラブへ加入してもチームのコマとしてプレーする場合が多い。長谷部や長友、吉田麻也のようなチームを牽引することのできる選手が重宝される」(エージェント会社関係者)
「森保ジャパンで最も批判を浴びたのは長友。一時期はコンディションにも苦労するなどして不要論に晒された。しかし常に声を出しチームへの献身性を発揮し続けた。逆境に負けない強さを持った男が調子を取り戻すと、チームに欠かせない選手となった」(日本サッカー協会関係者)
代表チームに招集される選手は個々が自信とプライドを持っている。自己中心的なプレーに走りチームの和を乱す危険性もある。そういった選手をたしなめ、チームをまとめる存在が必要だ。また、ピッチの外でもチームを盛り上げ、献身的に行動できる人材も代表にとっては重要になってくる。
「国際試合では強烈なリーダーシップを発揮する選手が求められる。過去には闘将と呼ばれたラモス瑠偉、柱谷哲二は気迫でチームを引っ張った。(日韓大会ではチームを支える役割として)中山雅史、秋田豊がサプライズ招集されたこともある」(サッカー関連のスポーツライター)
「中村俊輔、川口能活などは控えになった際、飲料水などの準備を率先して行っていた。あれだけのスター選手が裏方として尽くしてくれれば、試合に出る選手はいい加減な気持ちではプレーできない。献身性でチームを1つにできる存在だった」(在京J1クラブ強化担当者)