■「なんでだてさま?」

 でも、それも試してみないとわからなかった。ずっと模索しながら行き着いたのが、「ラヴィット!」だったんです。そこですてきな方々と出会って、僕の場合はあまり作り込むより、出たとこ勝負で、素の表情やリアクションを楽しんでもらった方がいいんだろうなと気付かせていただいた。どこかで「自分ってこうあるべきだよな」と決めていたものが、「そうじゃない、こっちのやり方もあるんだよ」と皆さんに教えていただいた感覚ですね。武器を身につけないという武器を手に入れた感じです。

――「お陰さまで、人間・宮舘涼太の層が厚くなってきている気がします」と微笑む姿に気品と風格が漂う。デビュー前から「舘様(だてさま)」と呼ばれ、貴族キャラとして愛されてきた。「今となってはありがたさしかない」と語るが、戸惑った時期もある。

宮舘:「舘様」と呼ばれ始めたのは(ジャニーズ事務所に)入所してすぐの12、13歳でした。「いや、なんで『ミヤ』を忘れて『だて』で『さま』? そのまま宮舘でよくない?」「“様”らしくふるまわなくちゃいけないの? なんか本当の俺と違うよ?」とか、生意気なことを思っていた時期もありました(笑)。でも、高校生のころ出演した舞台で、失敗して落ち込んでいる僕に、座長だった(KAT-TUNの)亀梨(和也)くんがこう言ってくれたんです。

「お前プロだろ。お前を見に来てくれた人がいるんだから、幕が開いたら気持ちを切り替えて自信を持ってやれ」

 その言葉で、それまでどこか部活感覚だったものが仕事に切り替わった。あのときの言葉は、今も自分の中に「永遠のテーマ」として残っているくらい響きました。「それぐらい覚悟を持ってやれよ」「お前はもうそういう世界に足を踏み入れているんだぞ」ということだと思うんですけれど、やっぱり言葉のチョイスも最高なんですよ。「ナイスチョイス」(よく響く低音で)です。

 そこからは「舘様ね。はいはい、わかったよ」とすべてを受け入れるようになりました。だから「貴族キャラ」とか「ロイヤル担当」も、すべて僕発信ではないんです。ファンの皆さんや、ときにはメンバーが導いてくれて、僕はそのあとをついていっているだけ。

 つまり、皆さんに育てていただいて、今のこの僕があります。本当に人に恵まれていますよね。でも逆に言うと、自分ではまったく意識していないのに、生きているだけで「ロイヤル」と言われることを思うと、僕を育ててくれた親にも感謝しなきゃな、と思います(笑)。

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