昨年死去したアメリカの名物ラジオDJ ケイシー・ケイサムの娘 ケリー・ケイサムを始めとする家族が、30日ロサンゼルスで記者会見を開き、妻を逮捕するようロサンゼルス警察に要請したと、ハリウッド・リポーターが伝えた。
未亡人のジーン・ケイサムは、体に栄養チューブを埋め込まれた夫を昨年5月7日にサンタモニカの病院からシアトルに移し、6月15日にケイサムはその地で亡くなった。そして、妻は遺体をモントリオールやオスロへと移送し、冷凍保管したのちクリスマス近くになってようやく墓地に埋葬した。ケリーの弁護士 マーサ・パターソンは「これが虐待でなくて何なのでしょう。赤ん坊を保育器から出すようなものです」と話した。
私立探偵のローガン・クラークは、「ジーンはケイシーを5日間の長旅に連れ出しました。食糧が底をつくと、ドラッグストアで栄養補助ドリンクを買って栄養チューブに流し込み、管を詰まらせました。これでも彼女が殺していないと言うんですか? 看護師は血液でいっぱいになった人工肛門袋の写真を撮っているし、証拠は全部警察にあります。地方検事局のベル・チェンがこの件を扱ってもいいと言っています。ロサンゼルス警察の恥ですよ」と憤る。
ロサンゼルス警察の広報官はハリウッド・リポーターに「刑事たちはまだ老人虐待について鋭意調査中です。地方検事局に提出される前にできる限り詳しく調査するつもりです」と語った。
ジーンは6月に、夫の死の責任は彼を生命維持装置から外したケリーにあると話していた。2007年の医療指示書では、生命維持装置がただの延命にしかならず、認知機能がなく正常に機能する望みがなくなったら、そうするようにと指示してあったのだ。ジーンはケリー側について「彼らみんなのせいです」と語った。
一方ケリー側の話は全く違ったもので、ケリーを擁護するジェイソン・パトリックは記者会見後ハリウッド・リポーターに「ジーンは刑務所行きだよ。そうでなければ、自分で作った地獄で一生暮らすんだね。警察は彼女を逮捕すべきだ。それから州議会はこんなことが二度と起こらないようにしなくてはならない」と話した。
ケリーは「“ケイサム・ケアーズ”という財団を立ち上げ、マイク・ガットー下院議員の法案を支持しています。家族が愛する人に面会するのを配偶者が禁止した場合、後見人を申請させると300から40万ドル(約35,000~4700万円)の費用と長ければ1年もの時間がかかるため、その頃には大切な人が死んでいるかもしれないのです。そのかわりに判事に裁定を下す権限を持たせるのがこの法案です。法律のギャップを埋めるのです。」と付け加え、ロサンゼルス警察がジーンを逮捕しなければ、ケリーはFBIに持ち込む覚悟さえあると言う。
両者は13組の弁護士を雇ったといわれるが、弁護料に65万ドル(約7,600万円)を費やし、現在は裁判費用をどちらが払うかで争っている。