現在放送中の連続ドラマ「silent」(フジテレビ系)の評価がうなぎ上りだ。耳に難病を抱える元恋人と再会した主人公が、待ち受ける現実と向き合いながら共に乗り越えていく姿を描いた、切なくも温かいラブストーリー。令和の若者の機微をうまく突いた展開にハマる人が続出しており、見逃し配信の視聴率やSNSでのバズり方がすごいことになっている。第1話の見逃し配信再生数がフジテレビ全番組における歴代最高を記録し、それ以降も回を重ねるごとに記録を更新。ツイッターでは5話連続で国内トレンド1位、さらに4回も世界トレンド1位になるなど、絶大な反響を呼んでいる。
【写真】「silent」出演の目黒蓮が表紙を飾った週刊朝日はこちら!
ドラマウオッチャーの中村裕一氏は「silent」の人気の要因をこう分析する。
「まず、物語がラブストーリーにおける最少単位である三角関係を中心とした恋愛模様に集約されていることが人気の理由の一つでしょう。また、全体的に演出が非常に丁寧で慌ただしくない。BGMも必要最小限に留め、登場人物のアップを多用することでセリフがしっかり見る側に入ってくる。特に第5話の最後、紬(川口春奈)と想(目黒蓮)がテーブルを挟んで向かい合うシーンは、小津安二郎の映画にも通じるようなテイストを感じました。言葉や行動の意味を想像させるための“余白”を大事にしているような気がします。それによって視聴者は落ち着いたトーンで、時間をかけて作品世界に入り込めて、かつ余韻に浸れる。スタッフ、キャストの『令和を代表するラブストーリーを作り上げよう』という静かなる気概のようなものが伝わってきます」
ハンディキャップという要素抜きでも十分に楽しめる王道ラブストーリーとなっているが、そんな人気作で主人公の青羽紬役を演じているのが女優の川口春奈(27)。近年では、2020年のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」で沢尻エリカの代役に急きょ抜擢され、帰蝶役を好演し注目を集めた。その後、昨年4月期放送の「着飾る恋には理由があって」(TBS系)で主演を務め、同年末の「NHK紅白歌合戦」で司会を担当。今年はNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」にヒロインの姉役として出演。そして主演の「silent」が社会現象になりつつあるなど、目覚ましい飛躍を遂げている。だが、これまでは主演女優としての評価は決して高かったわけではない。