「耳の難病を抱える目黒くんは表情やしぐさで感情を表現する難しい役どころですが、女性視聴者の心をがっちりつかんでいる。川口さんは涙を流す場面でも、自分を責める涙、相手を思う涙、フラれた時の涙と状況に応じて絶妙に使い分けている。微妙な心のあやを伝える能力が高く、『すごい女優さんになったな』と感じると共に、この作品が間違いなく代表作になると思います。川口さんの元カレで戸川湊斗役の鈴鹿央士さんは私が一番好きなキャラクターです。同じ歩調でずっとそばに寄り添ってくれる人の大切さを感じます。今後は目黒君と行動を共にする桃野奈々を演じる夏帆さんが気になりますね」
ドラマの視聴者は20~30代の女性層が多いが、40代以上の世代からも支持を集めているようだ。SNS上では、「寝ても覚めてもsilentのこと考えちゃうけど、あんなに深くて切なくて愛しい恋愛描くのに、ハグもキスもないのが信頼すぎて…男と女とかではなく、ひたすら人間同士の関係性に徹してるし、純粋に全員に感情移入できるのは肉体感ではなく精神面でのつながりを丁寧に描いてくれるからなんだな…(原文ママ)」。「昭和の中高年です!オッサンです!ハマってます!若かりし頃の恋愛ドラマは弱肉強食。そんな世代から見ると、今の若者はこういう恋愛するんだ…とも思うし、結婚式の披露宴で友人席に異性の友人が居るのも、そうなんだ…と納得します」などのコメントが。
SNSでこれほどの書き込みが多い作品も珍しい。吉田さんはその理由をこう分析する。
「現場にいるというか、会話をそばで聞いているような感覚があるんだと思うんです。想と青羽がいたカフェ、湊斗と青羽がいたファミレス、隣の席に座って聞いていて、思わずつぶやく、みたいな。その距離の近さがこの作品にはある。賞賛とか共感もあると思いますが、空気感の共有がSNSに向かわせるように感じます」
青葉紬をめぐる佐倉想、戸川湊斗の三角関係が物語の中心軸だが、恋愛ストーリーの枠に収まらないのは、視聴者が登場人物に感情移入して、自身の生き方を重ね合わせている部分もあるからだろう。