一流の芸能人は、優れた芸を見せて人々を満足させる。でも、超一流の芸能人は、ただそこにいるだけでも人々を満足させる。昭和の大名人と言われた落語家の五代目古今亭志ん生は、酔っ払って高座に上がり、噺の途中で居眠りをしてしまっても客を満足させたという。本物のスターは存在そのものが芸になっている。
【写真】キムタクの「ぎふ信長まつり」見たさに集まった人、人、人
ダウンタウンと木村拓哉という性質の違う2組の超大物芸能人が、人々の前に姿を現して話題になったというニュースを見て、そんなスターの条件について思いを馳せた。
ダウンタウンの浜田雅功と松本人志は、11月3日に大阪・御堂筋で開催された「御堂筋ランウェイ2022」に出演した。2025年の大阪・関西万博でアンバサダーを務める2人が、フロートに乗って御堂筋をパレードした。沿道には多くのファンが詰めかけていた。
11月6日には、木村拓哉が「ぎふ信長まつり」の騎馬武者行列に登場した。織田信長に扮した木村は、鉄砲隊やマーチングバンドなど約200名と共に、岐阜市の金華橋通りを練り歩いた。観覧には申込みが殺到し、倍率は64.4倍に達したという。岐阜市の人口を上回る約46万人の人が参加していた。
彼らのイベント出演はそれぞれテレビなどでも大きく取り上げられ、注目を集めていた。どちらも、はるか昔から第一線で活躍を続けているレジェント級のテレビスターであり、幅広い世代に認知され、支持されているという共通点がある。
ここ最近はコロナ禍のため、大勢の人を集めてイベントを行ったりするのは難しい状況にあった。そんな中で人々の感じる閉塞感や飢餓感がかつてないほど高まっていたからこそ、スターの「降臨」がすさまじい反響を巻き起こしたのだろう。
30年以上前からダウンタウンや木村をテレビで見続けてきた立場としては、彼らが長年にわたって自身のブランド価値を落としてないことが驚異的である。彼らはいかなることがあっても決して大衆に媚びないし、スタイルを崩さない。