「私の新曲が9月7日に出ております」。11月15日の参院文教科学委員会で初めて質問に立ったのは、7月に初当選した日本維新の会の中条きよし氏。何を思ったのか、自身の新曲の宣伝を始めた。数々のステージに立ち、人前で話すことは慣れているようだが、今回は党内で処分を受ける、苦い国会デビューとなった。
「もう時間ですが、最後になりますけども……」
中条氏は質疑の最後にそう言うと、周りが驚くような発言をし始めた。
「私の新曲が9月7日に出ております。昭和の匂いがする『カサブランカ浪漫』という曲です。ぜひお聞きになりたい方はお買い上げください。12月28日には、中条きよしラストディナーショーをやります。芸能界最後のラストディナーショー、ぜひ機会がございましたら参加を。76年間、一国民として頑張って参りました。これから違うステージで頑張りたいと思っております」
と国会の場で自らの新曲とディナーショーの宣伝という、前代未聞の“国会質問”をぶちまけた。
これには身内の維新の国会議員も、
「バッジをつけてそうそうに、やっぱりやっちまったなという感じですね」
と苦々しそうに打ち明けた。
7月の参院選で維新から比例代表で立候補し、周囲を驚かせた中条氏。
「やはり有名人ですから、例えば東京の下町などで演説すると高齢者を中心に聴衆が集まる。維新はどちらかといえば、若い世代向けの政治ですよ。けど中条氏は維新がカバーしにくい高齢者からの支持が厚く、党としては狙い通りでした」(前出・維新の国会議員)
高齢者狙いのため、東京などの都市部では下町を中心にまわった。逆に地方での遊説も多かったという。
その際の訴えは、
「『うそ』じゃないよ、本当の中条きよしです。ぜひ、中条きよしと名前を書いてよ。『うそ』じゃないよ、約束して」
という決めゼリフ。その結果、4万7千票あまりを獲得して、4位当選を果たした。